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哀しみ・苦しみ・憤り・孤独
そして、絶望。

彼女の表情は…なんとも表現し難い。
目の前にいるのに、俺が映っていないように感じる瞳。



ドキッとした。

いつかの自分に似た表情や瞳。
……そう、あの時の…鏡の中の自分だ。


その瞳が近付き、唇に柔らかいモノが触れる。
そして、彼女は目を閉じ舌で上唇を舐めた。
温かい雫が、幾つも幾つも滴り落ちて来る。

「お願いします。
今日だけ…。今日だけでいいんです。
抱いて下さい。」



このての事は、いつもの様に軽くあしらうべきだと解っている。
でも……

彼女の『あの』表情に…瞳に…
俺は抗えるはずも無い。


再び近付く唇を、今度は俺が奪う。
後ろに腕をまわし、口内を侵食した。

後はもう、坂道を転がる様に…
そのままソファで、まるで獣の様に彼女の身体を貪った。

彼女が初めてだとわかった時にはもう止める事も出来ず…
余裕なんてひとかけらも無い。
文字通り、彼女を掻き抱いた。


結局、最後まで滴る涙は止まらないまま…
意識を飛ばした彼女を寝室に運び込み、包む様に眠りについた。




朝、いい匂いに目が覚めた。
寝室のドアが遠慮がちに開かれ、チョコンと顔を覗かせる最上さん。
その表情は昨日のそれとは別人で、まぶたが少し腫れてはいるがいつもの様な笑顔を見せた。

「おはようございます。
朝ご飯、出来てますよ。」

勝手に台所を物色してすみませんとか、冷蔵庫の中身がお酒のみで身体に悪いとか言う。
いつも通りの最上さんの様子に昨日の出来事が夢のような気がしてくる。
……ここに最上さんがいるんだから、夢のはずが無いのに。

「最上さん、身体は大丈夫?」

「はい、大丈夫です。
ご迷惑をお掛けしました。」

にこやかに返事が返ってきた。

最上さんが作ってくれた朝食にはビックリした。家にあった物で、何故こんなにも美味しい物が作れるのか。
贈られてあったロースハムを焼いたものや、パスタをサラダ風味にしただけなのにするすると食べられる。



食事も終わり、帰らなければと言う最上さんを、ここでいいと言われた駅まで送って行った。





その日から数日。
何処で会っても最上さんはいつも通りだった。
……そう。本当にいつも通り。
会っても挨拶程度で、あっさりと行ってしまう。
その後の事が少し心配だったのに、声すら掛けさせて貰えない。

あの日の彼女は何だったんだろう?
あまりにあっさりし過ぎて、本当にあの夜の出来事は俺の妄想だったのか?とも思えてくる。


ある日、仕事でたまたま一緒になった最上さんに現実だった事を確かめたくて、楽屋に入る前の彼女を捕まえた。

「また、最上さんのご飯食べたいんだけど。
今日の夜…空いてる?」

「へ?
いいですよ?」

やはり、なんでも無いような雰囲気。
なんだか……面白くない。


本当は、あの夜…あの時の最上さんの姿に見惚れた。
なんて綺麗なんだろうと。
その行為の時にそう思った女の子は初めてで。
あんなに余裕無く女の子を抱いたのも初めてだった。

なのに、彼女はまるで関心が無いのか?
初めてだったはずなのに…



その夜、俺は食事を作りに来てくれた最上さんを、寝室に連れ込み2回目の情事へといざなった。





**********




このくらいなら限定でなくても平気かな?
このRedo (続開)はお話の流れから、今後も桃色は濃くないと思います。
……って言っておいて、次回はパス付きになる予定ですが。濃厚は無い…はず。
次はキョーコさんでいきます。


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2013.02.28 Thu l Redo (続開) l コメント (0) トラックバック (0) l top


今回のRedo (続開)は若干パラレルになっています。
キョーコが芸能界に入った理由とその前後が少し違うのと、過去にコーンとの出会いは有りません。
それでも大丈夫!っていう心の広い方、ぜひどうぞ(*^_^*)







彼女は……最上さんは、同じ事務所のただの後輩だった。
あの日までは………。




Redo (続開)




俺にとって、最上キョーコは良くも悪くも普通の子だった。

タレント部門に所属していて、何かの時に
大好きな幼馴染がミュージシャンだからその彼に近付きたい、その為に芸能界に入ったんだと聞いた事があった。

目を輝かせて、何にでも一生懸命な彼女に僅かな好感を持っていた。
好感は持ってはいたが、特別可愛がったり仲良くするほどではない。
本当に、普通の子だったんだ。



そして、あの日…彼女と俺の関係が変わった。


その日はいつもより早めの午後10時には仕事も終わり、車をいつもの様に走らせ帰っている途中だった。

ふと歩道を見ると見覚えある後姿。
とぼとぼと足取り重い彼女の横に車を寄せ、声を掛ける。

「最上さん、時間も遅いし送って行こうか?」

俺の方に顔を向けた彼女の顔を見て、ビックリした。
目には涙が溢れ、まぶたは腫れて、鼻はかみ過ぎたのか真っ赤だ。

「どうしたの?
とにかく乗って?
かりにも芸能人なんだし、そんな顔で公道を歩くもんじゃない。」

横に首を振る最上さんを少々強引に車に乗せる。

「家はどの辺?
送って行くから。」

そう聞くが彼女は何も言わない。
どんなに同じ質問をしても、涙ばかり溢す彼女。

困った俺は、取り敢えず自分の部屋に向かった。


何も言わず手を引かれて部屋に上げ、ソファに座ってもらう。
温かいコーヒーを淹れ、彼女に持たせる。

「少し落ち着いたら、家に送って行くから…。」

そう言って、彼女の頭にポンポンと手をやった。


礼儀正しい彼女が、まだ一言も言葉を発さないのは珍しいな…とか
そういえばこの部屋に女の子を入れるのは初めてだな…とか
沈黙の中、そんな事を考えていた。


どのくらい沈黙が続いたのか、急に最上さんの声がした。

それは小さな小さな声で…
俺は聞き取れず、「え?何?」と聞き返す。

すると下を向いていた顔をこちらに向け、紅い目で俺を見据え、最上さんからは想像も出来ない一言を言った。


「抱いて下さい。」



「え?」

聞き間違いか?

「抱いて下さい、敦賀さん。」

今度はさっきよりも大きな声で、少し強い口調で言われる。

「最上さん?どうしたの?
何があったのか知らないけど、ヤケはよくないよ。」

そう言うと、大人しく座っていた最上さんはスッと立ち上がり、俺の前へ。

「抱いて下さい。」

見上げると最上さんの表情は、哀しみ。
俺は一つ息を吐く。

「最上さん、身体は大事にしないと。
後で後悔するよ?」

そう言い終わると同時に、体が強い力で押されソファの上に倒れた。
最上さんの両手が俺の肩にのし掛かる。


「何も言わずに……
抱いて下さい。」

頬に温かい雫が滴れて来た。

上にある彼女の表情に、俺は息をのんだ。



**********



新しくお話を始めちゃいます。
多分少し長くなりそう…かもしれないです(泣)
ぜひ、お付き合い下さい(*^_^*)


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2013.02.27 Wed l Redo (続開) l コメント (0) トラックバック (0) l top
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2013.02.25 Mon l Conversation of men l top
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2013.02.22 Fri l Conversation of men l top
今日の最上さんは、会った時からあきらかに様子がおかしかった。


迎えに行ってもいつもなら笑顔で挨拶をし、車に乗れば食へのあれこれを語り、部屋に着けば手際良く食材をご馳走に変えてしまう。

そんな最上さんが今日は、挨拶もそこそこに車でも心ここにあらずで、料理する手はとうとう止まってしまった。

もしかして今日は調子悪いのか?

「いつ言おうかと思っていたけど、最上さん今日は調子悪い?
無理に夕食頼んじゃって、ごめんね。
今日はもう平気だから、送っていこうか。」

最上さんの事だ。
調子が悪くてもおよそ言う子ではない。
でも、返ってきた答えは

「いえ…別に調子悪い訳ではないです。
すみません、少しボーっとしてしまって…」

ますます珍しい。

「大丈夫?無理しないで?」

すると眉間にシワが寄る。

これは…何かあったか?

「どうしたの?
何か悩み事?それとも嫌な事でもあった?」

手を引きソファへ座るよう促す。

何でもないと言う最上さん。
ただの事務所の先輩が、無理に聞き出すわけにいかないか…。

「最上さん、言いたくない事は無理に言わなくてもいい。
でも心配はさせて?」

すると眉間のシワがますます深くなった。

……………。

会ってから目があまり合わないな、とは感じていた。
今…確信した。

俺か?
何かしただろうか?

最近の事を頭の中で思索する。
すると、やっと耳に届くような小さな声が聞こえた。

「…専門職の方…なんですか?」

専門職?
何の事だろう。それは誰の話だろう。

ハッとした顔で急に帰ろうとする彼女。
彼女の手首を握り、「専門職ってなに?」と問う。

沈黙。

どうやら言う気はないらしい。
専門職…つい最近どこかで聞いたな…。

「……………。
専門職……?
ああ…先日貴島くんが聞いてきた『専門職』?
もしかして、君あの会話聞いてたの?」

沈黙は肯定。
なるほど…俺がプロの女性に性欲の捌け口をお願いしていると…。
だから…目も合わせてくれず、俺の声に苦悶の顔をするわけか。

……まるで、汚いものを見るような目で……

「………ふーん。
俺が、専門職の女の子に頼んでると思ったの?
ああ…だからこその今日の最上さんの様子なわけか…。

俺は汚い?」

きれいなきれいな最上さん。
穢れのない眩しいほどの彼女から見た俺は、汚れきっているのだろう。

……そうだよ、最上さん。
俺は汚れてる。
夜ごと君を穢し、淫らな君を想像しているのだから。



どうせ手が届かないのなら……


いっそ……





**********


この先は…桃色の世界ですかね?!
すみません、お話全く進んでませんね…。
長くなりそうな予感がひしひしと感じます。


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2013.02.21 Thu l Conversation of men l コメント (0) トラックバック (0) l top
先日聞いた男の会話。

その内容は、キョーコにとって青天の霹靂。

日々尊敬し信仰の対象である蓮は、生身の男で生理的にそうゆう行為を欲する俗物なのだと……初めてその内容にまで考えついた。


敦賀さんが……女性と…?
あの長い腕が力強く抱き寄せ、キスをし、あの低めの心地良い声で言葉を交わし、愛し合うの…?

キョーコは胸の中で小さく激しく燻る感情に行き着いては
「ハッ!!今なに破廉恥なことを考えていたの?!」
と自分を叱咤し、また考えては叱咤を繰り返す。


………こんな感情…気付きたくなかった……。




その日社さんから、ラブミー部への依頼があった。
本当は断りたかったけど、「蓮が最近いつもよりも食べなくて困ってるんだ」と聞いてしまうと断れない。

にこやかに迎えに来る敦賀さん。
車へとさり気なくエスコートする動作。
この助手席に、その女性も座るのだろうか?

蓮の部屋で料理をしながら、考える事はやっぱりここ最近ループしていること。

あの敦賀さんの寝室で、あの大きなベッドで……
そう考えると堪らない。

思い出されるのは蓮の言葉…。

『何もしないよ。
君には。
泣かれると困るからね。』


私は恋愛に対しても、そういう対象としても、対象外なのはわかっている。

トントンとリズミカルに鳴っていた音が止まる。

不意に後ろから声を掛けられた。

「いつ言おうかと思っていたけど、最上さん今日は調子悪い?
無理に夕食頼んじゃって、ごめんね。
今日はもう平気だから、送っていこうか。」

優しく肩に手を置かれ、自分の心臓の音が急に大きくなった気がした。

「いえ…別に調子悪い訳ではないです。
すみません、少しボーっとしてしまって…」

「大丈夫?無理しないで?」

心配そうに見つめてくる瞳が、今は辛く感じて眉間に力が入る。

「どうしたの?
何か悩み事?それとも嫌な事でもあった?」

手を引かれ、リビングのソファに座らされる。

「いえ、本当に何でもないんです。」

「最上さん、言いたくない事は無理に言わなくてもいい。
でも心配はさせて?」

本当に…やめてもらいたい。
勘違いさせるような優しさは、残酷なだけだ。

先程までループしていた胸の燻りが煽られて大きくなる。

「…専門職の方…なんですか?」

胸の燻りの不快さに、つい言葉が出た。

「え?専門職?
誰が?」

「あ…いえ…。
すみません、やっぱり今日は調子が悪いので帰ります。」

敦賀さんへの想いも、こんな見苦しい感情も…気付かれたくない!

立ち上がりドアへ向かおうとしたところで手首を掴まれる。

「専門職ってなに?」

まさか言えるわけがない。
ただの事務所の後輩が、敦賀さんのプライベートの、しかも込み入った男女の話なんて…。
手首を掴まれたまま、沈黙が続く。

「……………。
専門職……?
ああ…先日貴島くんが聞いてきた『専門職』?
もしかして、君あの会話聞いてたの?」

尚も何も言えず、下を見続ける。

「………ふーん。
俺が、専門職の女の子に頼んでると思ったの?
ああ…だからこその今日の最上さんの様子なわけか…。

俺は汚い?」

そう言った敦賀さんを見ると、大魔王と夜の帝王が混ざったような雰囲気。
周りの温度が下がったように感じる。
ジリジリと詰め寄るように妖しい人が近付く。

「穢れを知らない最上さんからすると、俺はさぞ…汚いんだろうね。」

「つ…るが…さ…っ!」

手首を掴んでいる手ではないもう片方の手が、急に私の輪郭を抑えたと思ったら強引に唇を食べられる。

その行為はキスと言うには激しく、息すらもさせてもらえない。

「んっ……っ…」

いつまでも続く行為に、次第に意識が霧散していくのがわかった。



********


やっぱりこの先は桃色になってしまいそうな…。
次は蓮Sideの予定です。

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2013.02.20 Wed l Conversation of men l コメント (0) トラックバック (0) l top



ドラマの撮影現場で、今回も一緒になった貴島くんと出番待ちで椅子に座っている。
そんな中、貴島くんから話が振られた。

「敦賀くんさー。今、彼女いないんだっけ?」

椅子にまたがり、セットの方を見ながら聞かれる。

「いないよ。」

同じくセットの方を見ながら答える。

「敦賀くんってさー、女の子と噂になった事って無いよね?
上手く隠してるの?」

「彼女いないから、噂になりようが無いんだよ。」

「でも男だから、女の子が欲しい時だってあるでしょ?
そんな時はどうしてるの?」

「……さあ?どうだろうね。」

「…敦賀くんってそういう方面、本当に秘密主義だよね。」

「貴島くんはオープンだよね。あの彼女との噂、本当なの?」

「え?どの子かな?」

「…悪いオトコだね。」

お互いクスクス笑う。

「でもこの世界で生きていると、絶対噂になっちゃうだろう?たとえ一夜だけでも。
そんな噂も出さない敦賀くんって本当すごいよ。
口の堅い専門職の女の子とかにお願いしてるの?」

「その辺の事は秘密だよ。」

「残念。」

そこにスタッフから声を掛けられる。
「敦賀さん、貴島さん、スタンバイお願いしまーす。」

2人同時に椅子から立ち、セットへと向かう。





立ち聞きなんてするつもりなかったのに!!
なんとなく話の内容に声を掛けられず、そのまま隠れるようにして聞いてしまった。

キョーコは今まで聞いてしまったオトコの会話を反芻する。

そっか…男の人は女の人が必要な時っていうのがあるんだ。
生理的に女性が必要な時…っていう事、なのかな?!

敦賀さんも男性だもんね。

確かにこの業界、一晩だけの関係だとしても噂にはなりやすい。
しかも、敦賀さんは抱かれたい男No.1に君臨するお方。
そんなヒトと親密になれれば、女の方だってあまり隠したがらない。


なんで敦賀さんはこっちがビックリするくらい、スキャンダルの1つも無いんだろう?
貴島さんの言うように、プロの方と……?


まさか本人に聞くことも出来ず、キョーコはこの日から暫く悶々と過ごすことになる。




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2013.02.18 Mon l Conversation of men l コメント (0) トラックバック (0) l top
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2013.02.15 Fri l 短編 l top
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2013.02.14 Thu l 短編 l top


あの告白もどうしたらいいのかわからないし、黙って帰ってしまった事や、その後避けまくってしまった事で、会った時にどんな態度をとれば良いのかわからない。

そんな事を考えているうちに、1日に何回もあった敦賀さんからの着信が1ヶ月になる頃には全く無くなってしまった。


そんな中、なんとなくつけてあったラブミー部の部室のテレビが目にはいる。

映るのは今の今まで考えていた彼。
芸能界1イイ男にして、抱かれたい男NO.1の敦賀さん。

番組は前にも目にした事がある、関西弁なタレントさん2人組のトーク番組。
そのゲストとして出ているようだ。

久し振りに見る敦賀さん。
少し痩せた?

するとトークはお約束な恋愛の方向へ。


「敦賀さんは恋人はいてはるんですか?」

「いませんよ。」

「じゃあ、好きな人は?」

自嘲気味な笑顔をみせる。

「……いましたよ。でも、最近フラれちゃいました。」

「えーー!!いいんですか?全国ネットですよー?」
「敦賀さんでもフラれる事あるんですか?」

「ずっと片想いだったんですけどね…振り向いてもらえなかったです。」

「ますますビックリやなー!そんな奇跡があるんですか?!敦賀さんが片想いの上にフラれる事があるなんて!!」


え??

フラれた?

誰に?

……もしかして、私に?


待って!私まだ何も返事してないのに…?!
告白後に逃げて、その後避けていただけで…

ん?

普通、告白して逃げられたらフラれたと思うわよね。
その後電話も一切出ずに、避けられたら…
誰がどう考えてもフラれたと考えるのが妥当なところ。


その日の夜中。
直接お話したいと思った私は、敦賀さんのマンションの前で待っていた。

すると見覚えある車が私の前に停まる。

「最上さん?
こんな時間に、女の子が1人でいるなんて危ないよ?」

時計はもう日付が超える時間を刺している。

久し振りに会う敦賀さんに胸の中がザワつく。

「すみません。お話があって…。
少しお時間いいですか?」

「……ここだと夜中とはいえ人目につくから、部屋に行こう。」

促されるまま部屋へ上がり、リビングに通される。

「コーヒーでい

という敦賀さんの声を遮りる。

「今日、トーク番組見ました。」

「ああ。…うん。
で、引導を渡しに来てくれたんだ。」

「!!」

「悪かったよ。
何度もしつこく電話したり、食事の依頼しちゃって。
もう最上さんに迷惑はかけないから…安心して?」

「……好きな方がいるって、言ってたじゃないですか。」

「?誰が言ってたの?」

「敦賀さんが、ですよ!」

「俺が好きなのは、後にも先にも最上さんだけだよ?」

「そんなはずありません!!
ダークムーンの嘉月で悩んでた時、言ってたじゃないですか。」

その話をした覚えがあるのは鶏の彼だけだ。
「もしかして…鶏の彼との話、近くで聞いてた?」

キョーコはうなづく。
自分が鶏の時に聞いた事なのだと気が付いて、近くで聞いていた事にしてみる。

「だったら話は早い。
最上さん、俺の好きな子はどんな子?」

痛む胸をおさえて、思い出す。
「16歳の高校生…です。」

「そうだよ。2年前は16歳だったけど、12月25日の誕生日を2回迎えて今18歳の高校生。
今、目の前にいるよ。」

真っ直ぐキョーコを見る敦賀さんは神々しい笑顔だ。


こういうのを奇跡というのだろうか…。
私は夢をみているのかな…。

あまりに現実味が無い言葉に言葉が出ない。


目を白黒させてただただ固まっている私に、敦賀さんは少し困った顔して近付いて来る。
そして優しく包まれる感覚。

「君が好きだ。

出来れば…
Yesだと言って?」


あぁ……敦賀セラピー。


「私…敦賀さんが、好きです。」

敦賀さんのいい匂いに酔った様に、自然に気持ちが口に出ていた。

急にギュウっと力強く抱き締められる。

「く…苦しいです、敦賀さん。」

ゆっくり腕の力がゆるめられたので上を向くと、目の前に長いまつ毛が見え、唇に柔らかい感触。


「チュッ」という短い音の後、離された敦賀さんの顔は神々しい笑顔。

そこで初めて今、キスをしたのだと気付いた。

「つ…つ…敦賀さん!!」

多分私の顔は真っ赤になっているのだろう。


「最上さん、好きだよ。
愛してる。」

目の前の熱いまなざしと、胸を震わす声。
まるで麻薬のようなそれに、酔わされる。


再び近づいてくる美貌に、今度はゆっくり目をとじた。



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2013.02.13 Wed l 短編 l コメント (1) トラックバック (0) l top


「最上さん、好きだよ。
ずっとずっと、想っていた。」

俺は長い片思いの終わりを願って、生まれて初めての告白をしている。


場所はホテルの最上階レストラン。
華やいだ装飾だが落ち着いた雰囲気な所で、目の前のガラスから下を見れば宝石の様な光が輝く。
告白をするなら、最上さんの好みそうな感じで…と考えての今。


『Yes』と言って欲しい。
俺の彼女として、隣りにいて欲しい。
18歳になって瞬く間に綺麗になっていく最上さんは、ますます馬の骨を増産させていき、もう想いを秘めるのも限界を感じていた。

テーブルの上のロウソクが揺れるが、向かいに座るまだ反応が無い最上さん。
顔を見つめながら、両手を優しく握ってみる。

「冗談でも、嫌がらせでも、ドッキリでもない。
君が好きなんだ。
ねえ、俺と付き合って?」

流石にちゃんと真意は伝わっただろうと考えてながら微笑む。


するとガタンと椅子から立った彼女は、フラリと出入り口の方を向いたとたん、そのまま走り去って行く。

「え??最上さん?!」

慌てて追い掛けるが、エレベーターは既に下の階へ動いている。
こんな高層の最上階では、階段を使っても間に合わない。


******


え??どういう事??
何が起きたのだろう。

今日は敦賀さんに食事を誘われて…
いつも作って貰ってばかりだから、今日はレストランを予約したんだと言われて…
素敵な夜景をのぞみながら、デザートまで堪能したら…

「最上さん、好きだよ。
ずっとずっと、想っていた。」

その言葉を思い出し、顔を真っ赤にしながら頭を抱えてみる。
だるま屋の自分の部屋に帰るとへなへなと座り込み、今までの事を思い出す。


すると携帯が震える。

予想通り、『敦賀さん』の表示。

それを見ながらまた考える。
だって!だって!敦賀さんには好きな子がいるはずでしょう?
坊の時に私はハッキリとこの耳で聞いたもの。
なのになんで?
冗談じゃないの?
嫌がらせじゃないの?
ドッキリじゃないの?

だって、敦賀さんが私なんかを好きなんてあり得ない。

携帯が何度も何度も震える。
それが切れた頃、おかみさんが私の部屋をノックした。

「キョーコちゃん、事務所の方がみえてるよ?
敦賀さんだったかしら。」

「おかみさん!私、ちょっと今日は会えません!
本当に申し訳ないのですが、そう伝えてもらえますか?」

「え?でもいいんかい?事務所の先輩なんだろう?」

「すみません。本当に今日は…」

今にも泣きそうなキョーコをみて、
「わかったよ。今日は帰って貰うね。」
と下に降りる。

だって…私の最後の鍵がはずれてしまったら…
もう元には戻らない。
前回のアイツの時より、愚か者になる自信がある。
もしあの箱を開けてしまった後に、敦賀さんのあの言葉が冗談だったら…勘違いだったら…嘘だったら…。
私は、どうすればいいんだかわからない。


******


だるま屋まで行ってみたが、結局最上さんとは会えなかった。
何度電話しても呼び出し音が聞こえるだけ。

次の日も次の日も、何度電話しても電話に出て貰えない。
いつもなら、事務所でたまに会えていたが全く会えない。
せっかく連絡するなら声が聞きたいからとアドレスは聞いていなかったから、最上さんに直接言葉を伝える事もできない。

社さんがラブミー部の依頼として食事の世話を何度かお願いしたが、全てお断りされたようだ。

なんとか最上さんを捕まえようとしたが全く捕まらない。
時間だけが過ぎて行き、気がつけば告白し避けられてから1ヶ月になろうとしていた。


これは…
フラれたんだろうな。

俺の想いは、最上さんにとって迷惑でしかなかったんだ。

だいたい俺は幸せになる資格なんてないんだから、当然の結果じゃないか。


想い告げれば、今までのような関係でもいられなくなる事はわかってたはずだ。

愛を全霊で否定する彼女の中で、俺の事も否定する存在になってしまったのだろう。
きっともう、家で食事を作ってくれる事も、演技の相談にのる事も、電話で話す事も、
……俺に笑顔を向けてくれる事も…
無くなってしまった。


真っ暗な自分の部屋でソファーにもたれ、自嘲な笑みと共に涙が零れた。



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2013.02.13 Wed l 短編 l コメント (0) トラックバック (0) l top
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