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本当はなんとなく気付いていた。
最初から分かり切った事だったんだ。




敦賀さんと付き合い出して4ヶ月。

異変は割と早かったかな?
そう…初めての夜の後から。

彼は気付いてしまったんだ。
私への告白は間違いだったって。

身体が貧相だからなのか、全く経験の無かった私はおかしな事でも最中にしたのか。
それともそんな事じゃなく、根本的に私じゃなかったのか…。

あからさまな仮面の笑顔。
私を見る時の苦々しい表情。
会っても優しさは変わらないけど、ふとした時にする悲しそうな顔。
甘い言葉が無くなり、かわりに「ごめんね」と言う。


何の謝罪なのだろう。

触れるのが苦痛で「ごめんね」?
もう好きじゃなくて「ごめんね」?
そもそも好きだと勘違いして「ごめんね」?
別れたくて「ごめんね」?
……他に好きな人がいて「ごめんね」?


私の方こそ、ごめんなさい。
本当はすぐに彼を解放してあげなくちゃいけない。
敦賀さんは優しい人だから、きっと「別れたい」と言えないのだろう。

私が一言、言えば済む話なのだ。

でも…私は敦賀さんが好き。
離したく無い。
たとえ気持ちが無くても、その言葉さえ言わなければ…彼に一番近いのは私。

……なんて醜いのだろう。
だから恋や愛は愚かしいのだ。

彼の幸せを考えれば、身を引くのが当然なはずなのに。
彼の幸せより、優先しているのは私の気持ち。本当に醜い。




今日もいつもの様に、夕ご飯を食べて貰うべく敦賀さんの家にお邪魔している。

敦賀さんとこうして過ごせるのはとても嬉しい。
と同時に、彼の気持ちを考えると何倍も辛くなる。

「美味しい」と言って食べてくれると切ない。
食事の後の珈琲タイムにが終われば、すかさず「送るよ」と言ってくれる事が苦しい。

初めての夜から2ヶ月弱、体を重ねたのは初めての時と全部で2回。
その2回目は私が泊まりたいと強請っての事。
その後2ヶ月近く、会ってもそんな雰囲気にさえならなかった。


会えば苦しそうな顔しながらも私を気遣ってくれる彼。
食後の珈琲を啜りながら彼を見れば、ニコリと笑顔でこちらを見ていた。

そろそろ「送るよ」と言われる。

私はカップをテーブルに置き、スッと立ち上がり敦賀さんのカップもテーブルに置いた。
そしてソファに座る彼を押し倒し、そのまま彼に跨がりキスをした。

余程驚いたのだろう。目を見開いた彼はされるがまま。

私は抵抗されないことをいいことに、キスを続ける。
最初は軽く、次第に深く。
敦賀さんに教わった口づけをしながら手を身体に這わせ、やがて彼自身にたどり着いた。
彼の身体がビクンと震える。
その瞬間、彼の手が私の腕を掴んだ。
私はその腕を剥がし、行為を進める。

彼の理性を奪い、私は彼の上で淫らに躍った。

……もう、解放してあげよう……

私は迫る快感の波に揺られながら、自分に彼を刻みこんだ。




気怠い身体に鞭を打ち、乱れた着衣を整える。

「最上さん?」

行為の直後の私の行動が不思議だったのかキョトンとしている。

私はありったけの勇気を振り絞り、言いたく無かった言葉を彼に贈った。


「敦賀さん……別れましょう」


私はそれだけ言い、逃げるようにその場を後にした。





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2013.03.29 Fri l Wish l コメント (6) トラックバック (0) l top


テレビに映る不破を見ながら微笑む彼女。


その表情は柔らかく、まるで慈愛に満ちた顔で。
俺は自分の胸が鷲掴みにされたような痛みに耐える事しか出来なかった。


痛む胸を抑え、彼女の頬を包み、こちらを向いた彼女の唇にそっと自分のそれを合わせる。
「チュ」と軽く音をさせながら、二度三度と角度を変え啄ばむ。

ここで、アイツの事を聞いたら…楽になれるのだろうか。



更なる苦しみに堕とされるのか。


彼女の甘さに理性の紐が緩まるのを感じ、慌てて離れた。

本当はこのまま彼女の口内を味わい、そのまま押し倒して身体中を蹂躙し、温かい彼女の中を撹拌して、白濁の欲望を奥深くに注いでしまいたい。


「敦賀さん?」

首をかしげ、見つめてくるその表情も容赦無く俺を煽る。

このどす黒く渦巻く胸の内は非情に彼女を襲いたがる。

誰よりも大切で愛おしい彼女。
真綿で包む様に大切にしたいと思う気持ちと、俺のものにならない彼女を堕としてしまいたい気持ち。

その合間に、自然と眉間に皺が寄る。

「…あまり遅くなる前に、送って行くよ」

「え?」

大切なんだ…
堕としてはいけない。
それこそ…嫌われてしまったら元も子もない。今は『彼氏』という立場で、こうやって会える。
それでいいじゃないか。

スッと立ち上がり、送って行く準備をしようとする俺に彼女は更なる試練を落とす。

「…あの……。
さっきの番組の事で怒ってます?」

「え?
…ああ。別に怒ってないよ?」

「すみません。すぐチャンネル変えれば良かったです」

「いや、本当に怒ってないから。
さあ、帰る用意して?」

しっかり笑顔で返せただろう。

「なら……
今日も、泊まってもいいですか?」

……俺の頑張りを無にするような事は言わないでくれ。
思わず、はあと息が漏れる。

「迷惑…ですか?」

「迷惑とかじゃないよ。けど…」

フイっと横を向き、口ごもる。
このどす黒い気持ちを説明出来る訳もない。
牙を向く前に、早く最上さんを遠くに追いやっておかないと。

そんな事を思索していると、ドンと体に小さな衝撃があり細い腕が俺の身体に絡んだ。

「も…がみさん?」

「帰れなんて、言わないで下さい」

それでなくてもギリギリのところで戦っていたのに、この攻撃で俺は簡単にKO負けだ。

なんて恐ろしい小悪魔だろう。
大切にしたいと思っているのに、俺を試しているかの様に魅了して。


彼女の身体を押し倒し、俺は深く深く口づけをした。

そのままベッドまで我慢出来ずに先程頭を占拠した欲望通り
口内を味わい、身体中を蹂躙し、温かい彼女の中を攻めた。

ぬめる彼女の中を堪能しながら、好きでもない男にこんな事されている彼女の気持ちを考えた。

「ごめんね…最上さん。
……ごめんね」

まだ二度目だというのに、身体をいたわる余裕もなく打ち付ける。

俺という存在を刻み付ける様に何度も何度も彼女を求め、彼女の意識がなくしてもやめる事は出来なかった。




**********



これなら限定でなくてもギリ平気かな?
限定と全公開の区別が最近難しいです( -"-)


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2013.03.28 Thu l Wish l コメント (0) トラックバック (0) l top

その後、仕事に向かう途中に最上さんをだるま屋まで送った。

結局、彼女に「キョーコ」と呼んでいいかも、アイツへの気持ちも、聞くことが出来なかった。

情けないとは思う。
『抱かれたい男No.1』なんて…聞いて呆れる。
彼女の口からアイツの名前が出ただけで、このざまだ。

彼女の心が、いつか俺に向く日は来るだろうか…。



**********



とうとう致してしまった!

あの…敦賀さんと!

あの壮絶なまでの色気に…惑わされた様に事が進んでいて、いつの間にか……


……でも
幸せだった……


だるま屋に帰って一人、クッションを抱えゴロゴロする。

あの敦賀さんが…本当に私の恋人なんだと、初めて実感した。

緩む顔は止められず、笑みが勝手に漏れる。


まだ残る異物感と軋む体を労わりながら、でもその辛さもまた愛おしいと思う。
この日の仕事は、まさに頭の中がお花畑でこなしていた。


相手は多忙の人気俳優様。
そうそう毎日は会えない。
私も嬉しい事に、ドラマやバライティなどの仕事が増えそれなりに忙しい毎日を過ごしていた。


そんな中、一週間振りに敦賀さんと会える日になった。


私は完全に舞い上がっていたんだと思う。


マメな連絡に優しい声、彼と過ごせる関係。
どれもが非現実的なのだと…わかってなかった。

もちろん彼が天下の敦賀蓮だとは忘れようも無いが、私はただの最上キョーコなのだとすっかり失念していた。



いつもの様に、敦賀さんの仕事が終わるのを待ち、買い物をして、一緒にマンションへ行く。
調理した物を敦賀さんが「美味しい」と食べてくれると本当に嬉しい。

食事も終わり、二人で並んでソファに座り、コーヒーを啜る。

隣りに座る敦賀さんに、こっそりドキドキしたり、そんな些細な事で幸せを噛み締めていた。

正面のテレビに目をやれば歌番組のようだ。

するとふいに聞きしれた声が流れ、画面にはアイツがいっぱいに映し出された。

いつもなら敦賀さんの機嫌が底無しに悪くなる、アイツの映像や歌が流れればすかさず切り替えていたけど…
今日はそんな事も忘れ、ただ一点を見ながら考えていた。

先日まであんなに憎らしいと思っていたアイツの事を、今は感情に振り回されず見てられる。


不思議……


あんなヤツに(いろんな意味で)心を囚われたままだったなんて…
今となってはどうでもいい事だったんだな…と。

こんなに穏やかにショータローを見れる日が来るなんて…。

全ては敦賀さんのお陰だ。

そんな事を考えていたら、少し笑えた。


隣りで敦賀さんがどんな表情で私を見ていたかなんて、その時の私は知る由もなかった。



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2013.03.25 Mon l Wish l コメント (0) トラックバック (0) l top

「…ん……ショーちゃん♪」


その威力は凄まじく、舞い上がっていた頭に冷水をかけられた気分だった。


夢…を…みているのか…?

夢にみるのは…アイツなのか?

やはり、真実ではアイツを忘れられないのか?

俺への気持ちは……

ハッとした。
彼女に「好き」とは、言われていない。


…………………………。


君は……アイツがいいのか?

考えたくもない事ばかりが頭を占拠する。

さっきの行為も、頭の中の相手はアイツだったのではないだろうか、とか…
あり得ないとは思っているが、黒く汚い感情が渦めく。


俺は、どう足掻いても…彼女を本当に手に入る事は出来ないのか……。

そして今日は拒絶されなかったが、近い未来に彼女も俺から逃げていくのか……。

だからといって、昔の彼女達のように簡単に手放す事など…出来るわけがない。

たとえ泣いて嫌がっても…
彼女を解放してあげる事は、出来ない。



ゆっくりと、静かに、愛しい彼女の後頭部に再度キスをした。



**********



朝日がカーテンの隙間からこぼれる。

結局、眠ることは出来なかった。
俺は肘を付き身体を少しだけ静かに起こし、隣りでスヤスヤと眠る彼女の方に向く。
彼女はまだ …アイツの夢でも見ているのだろうか。

堪らずそのまま彼女に覆い被さり、か細い身体をきつく抱き締める。
すると彼女の瞳がゆっくりと開かれ
そして、見開いた。

「イヤーーーーーーーーーー!!」

目覚めのコレは想定内。
しっかりと両手で耳を塞ぎ、嫌悪の拒否ではない事にひとまず安堵する。

「おはよう、最上さん」

潜ってしまった彼女をシーツの上から抱き締める。

「体…大丈夫?」

シーツを少しめくると、彼女の真っ赤になった可愛い顔があらわになった。
その額にキスを落とす。
ことさら動揺する最上さん。
そんな彼女らしい姿も愛らしい。
今度は額ではなく唇に、二度三度と啄ばむ様に唇を寄せた。

始めは硬直していた彼女が、その口づけに返すようになり…昨夜の黒く汚い感情が少しだけ浄化されたように感じた。

たとえ、君が今でもずっとアイツを想い続けているかもしれなくても…渡すわけにはいかない。
だから…
「ごめんね……」

頬を撫で、もう一度軽いキスをした。

「体、大丈夫そうなら、シャワー浴びておいで?俺はトレーニングルームの方を使うから」

俺は身体を起こしベッドから出ると、トレーニングルームに向かった。


**********


最上さんはシャワーを浴びた後、「簡単ですが…」と朝食を用意してくれた。

きちんとした朝食を摂るのは本当に久し振りだ。

それを二人向かい合って食べながら、俺はいつまでもこんな朝を二人で迎えたいと、心の中で願わずにはいられなかった。



**********



敦賀さん、頭の中がお花畑だったからだいぶショックが大きいようですね。
本当は朝の遣り取りもう少しじっくりしたかったんですけど、アレルギー薬全開で頭が全くまわらない!
常にボーっとしてます(ー ー;)



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2013.03.21 Thu l Wish l コメント (0) トラックバック (0) l top
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2013.03.20 Wed l Wish l top
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2013.03.19 Tue l Wish l top


2ヶ月前
堪り兼ねた俺は最上さんに告白し、逃げようとするところを捕まえ、とにかく拝み倒して、なんとか彼氏の地位をゲットした。


そんな交際スタートだったから、勿論彼女から「好き」だと言われた事もなければ、その様な素振りもない。


なんとか、彼女の心も…身体も
全てが欲しいと思う今日この頃。



【Wish】



今日は彼女が部屋に来てくれる日。

部屋のカードキーは先に社さんから渡して貰ってあるから、俺は早く最上さんに会うべく仕事を精力的にこなす。


仕事が終わり急いで帰れば、愛しい彼女が出迎えてくれた。

「おかえりなさい、敦賀さん。
もうお夕飯出来てますよ。
すぐ食べられます?それともシャワー浴びられます?」

「先に食事にしよう?
最上さん、お腹空いてるでしょ?」

花の様な笑顔の最上さんと、まるで新婚の様な会話。


俺の幸せはいつでも、最上さんが与えてくれる。


ラフな格好に着替えて、最上さんの料理を囲み、俺は幸せな時間を料理と共に噛み締める。


食事も終わりコーヒーを啜っていると、ソファの隣りの微笑む彼女と目が合った。

心臓がドクンと鳴る。

持っていたカップをテーブルに置き、小さな体を腕の中に捕まえる。


最上さんの心も、こんなふうに簡単に捕まえられたらいいのに…。


腕の中の彼女は嫌がる事なく、額を俺の胸につけている。

女性特有の柔らかい身体。
仄かに匂う甘さ。
なにより、大人しく収まっている彼女が、俺の都合のいいように感じてしまう。

もしかしたら…
最上さんも俺の事、想ってくれているのかもしれない……と。


マズイ…そんな事を考えながら長い時間この体制は、非常にマズイ。

名残惜しいがゆっくり離すと、赤い顔の彼女と目が合う。

可愛い…

俺のものにしたいという衝動が駆け巡る。

右の頬に手をあて、俺はゆっくりキスをした。
そっと触れるだけのキスは、俺の理性を簡単に揺さぶる。

この2ヶ月、数える程度だが彼女はこんなキスを受け入れてくれる。

人間とは欲深いものだと思い知る。
彼女への欲情が、溢れ出す。

俺はこの触れるだけの唇を、角度を変えて啄んだ。

甘く、柔らかい唇。
薄っすらと瞼を開ければ、ギュッと瞳を閉じ、されるがままの可愛い君。

初心者の彼女は苦しくなってきたのか、顔を背けようとするがそれをさせずに両手で頬を包み、少し開いた唇から舌を挿し入れる。

彼女の口内をゆっくりと味わう。

脳が痺れそうなほど甘美な彼女。
この魅力に抗えず、そのまま全てを喰べたい欲望が膨らむ。

長い時間を掛け口内を味わい、ゆっくり離れると
瞳は潤み、唇は赤く濡れ、顔は紅潮した、艶かしいまでの彼女がいた。

こんなふうににしたのは俺だと思うとゾクゾクする。

「好きだよ、最上さん」

俺は彼女を抱き上げ、寝室に向かった。

抵抗しない彼女をベッドにおろし、俺は彼女の額にキスをした。

「君が欲しい。
もし、君の気持ちが俺にないなら…
今すぐ、逃げてくれ……」



**********


次回は桃色の為、限定になりますよ。
うちの敦賀さんは限りなくお手が早いもので……。

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2013.03.18 Mon l Wish l コメント (8) トラックバック (0) l top


「私の好きな人は……
敦賀さんです……」

身体に巻きついていた腕が解かれた。
彼を見れば、呆然といった表情。

「……今…なんて?」

今だ動作の止まったままの敦賀さん。

「もうとっくに心奪われています」

もうこれまでの先輩・後輩の関係も終わり。

「敦賀さんに想い人がいるのは知っています。
今日はもう帰りますね」

私は玄関に踵を返す。
その時、腕を掴まれ強い力で引っ張られた。
体制は崩れ、そのまま彼の懐に飛び込んだ。

「つ…敦賀さん?」

彼の腕がまた絡みつく。

「今の言葉は本当?」

今の言葉?

「はい…敦賀さんに好きな人がいるのは知

「違う!その前」

「……私は敦賀さんが好きです」

抱き締められ、彼のいい匂いに包まれる。
何故彼はこんな事をするのだろう…と考えていると耳元で呟きの様な声で。

「Miracle happened to me…」

もう既に抱き締められているというより、ぎゅうぎゅうと締め付けられている感じに身じろぐ。

「俺の好きな人は最上さんだよ」

え?

今度は多分、私が呆然とした顔をしてるのだろう。

「やっと…!最上さんの心を奪う事が出来た…!!」

上を見ると『敦賀蓮』ではなく、まるで少年の様なかんばせ。

「最上さん、好きだよ。
夢じゃない事…確かめても、いい?」

「確かめる?」

彼の手が後ろに回って頭を引き寄せられ、静かに唇が重ねられた。

私は先程の彼の言葉が理解出来ず、されるがまま。
ただ…深く考える事よりもこの心地良い感触に、ゆっくり瞳を閉じた。

始めはそっと重ね合わせているだけの口づけ。
全ての音や景色が遠のき、時間が止まった様な感覚。
それから輪郭を確かめる様に少しづつゆっくりと唇が動かされ、そこが次第に潤いを帯び始めると、また二人の時間が流れ出す。
うっとりとするその感触に、私は酔った。

言葉だけでなく、伝わる事があるのだとわかった気がした。

唇がゆっくり離れ、お互いの視線が絡まる。
そしてまた唇が重なる。

私は思考が拡散していくに任せ、ただ力強い腕の中で良い匂いにだけ意識を集中させた。



**********


中途半端な感はぬぐえません。
本当はこの後、桃色ワールドへ繋がっていくんですが…そんなんばっかりだし。
次回に考えているものが、桃は外せないので…
今回は処女作ということで、こんなボツ作品でご容赦を。


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2013.03.18 Mon l 短編 l コメント (2) トラックバック (0) l top


「今日はよく考え事してる様だけど、何か悩み事あるならきくよ?」

整った顔が私を覗き込む。

優しい笑顔の敦賀さん。
いつかは敦賀さんの想い人と想いが通じて、きっとここにも私はすぐ来れなくなる。
それまでは…それまでは敦賀さんの近くにいたいと思っていた。

悩みを聞いてくれると言うのなら、聞いて貰おうか?
そう思ったのは出来心だったのか…胸の痛み故なのか…。


「私、とても気になる人がいるんです。」


「え?!
……………。
す…好きな人がいるってこと?」

すごい驚いた顔…。
そりゃあ、私ラブミー部だものね。

「はい。」と言ってみると、顔が急に暑い。

「…誰かな?俺の知ってる男?」

「フフフ。内緒です。」

「その男と…付き合うの?」

「まさか!ありえません!!
その方、好きな人がいるようなんです。
だから、どうやったら諦められるのかな…って。」

急に周りの温度が下がったように感じた。
敦賀さんを見ると大魔王。

な…何で??

「すっ…すみません!
こんなどうでもいい話…。」

「いや…。
ぜひ聞きたいよ、その話。」

ジリジリと距離が近くなる。

敦賀さん…そんなに恋バナ好きなの?
こんなに喰い付いて来ると思わなかった。

「で?
諦めたいんだ……その男の事。」

目の前の美貌にクラクラする。

「簡単だよ…?」

スッと顎を押し上げられると、ゆっくりその美貌が迫り、え?と思う間も無く柔らかな感触が唇にふってきた。

チュッという音と共に離れた彼はニコリと笑う。

「俺に心を奪われてしまえばいい。」


今……何がおこったのだろうか?
彼は…私に何を言ったのだろうか?

頬から耳朶にかけて優しい感触が、私を思考から現実に戻す。
敦賀さんの指がそのまま耳の後ろの髪を遊ばせながら、また顔を寄せてきた。

「な…んで……。」

やっとのことで絞り出した声は、重なる唇によって奪われる。

さっきの触れるだけのキスとは違い唇を吸われる様に、舐める様に啄む彼。
その感触が離れた時、私の頬に一筋の雫が零れた。


なんて残酷な人だろう。

好きな人がいる貴方を忘れたいと思っているのに…
貴方は「俺に心を奪われてしまえばいい」と言う。
貴方に心を奪われている私に、答えてくれる事などないくせに…。

涙が後から後から流れる。

不意に彼のいい匂いに包まれた。
力強い腕が身体に巻きつき、私は彼に抱き締められているのだとわかった。

「ごめん…。
そんな簡単に心を奪われることなんて無いことを…知ってるのに…。」

上から降ってくる声。
本当に残酷な響き。

それは、彼の心は想い人以外なんびとたりとも奪う事は出来ないということ。

もともと雲の上の人…
敦賀さんが想い人と共になるまで、と思っていたけど…どうせ、叶わないんだから……


「私の好きな人は……
敦賀さんです……。」


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2013.03.15 Fri l 短編 l コメント (2) トラックバック (0) l top

敦賀さんが、好き。

もう、いくら否定しても湧き出る清水は止められない。
いつの間にか、あの箱の鍵の掛け方も忘れてしまったようだ。


キョーコはラブミー部室で、1人考えていた。

流石に私も、敦賀さんに想われたいなんて浅ましい事は思わない。
なにせ相手は芸能界一いい男で、抱かれたい男No.1の 敦賀蓮 ですから。

でも、こっそり想うだけなら…許して貰えるよね?

しかもあの人には好きな人がいるし。


以前鶏の坊として私は、敦賀さんから直接聞いた話。
高校生で16歳の女の子が好きなのだと。


ーーーーーどんな女性だろうーーーーー。


「誰が?」

え?

思考の小部屋から現実世界に戻された私の目の前には、今の今まで考えていたソノお方。

「ノックもしたし、声も何回か掛けたんだよ。随分と深く考えて事してたね。何か悩み事?」
会い向かいの椅子に座っている敦賀さんが、私にニコニコと笑顔を向けている。

「べ!別に!!たいした事は!!」
ブンブンと両手を降る。
言えませんって!あなたとあなたの想い人の事を考えていたなんて!!

「そう?じゃ、そろそろ行こうか。」
すっと椅子から立つとドアを開け、さり気なくエスコートしてくれる。

今日は食に無関心な敦賀さんに、夕飯を食べさせるよう社さんから依頼されていた日。
上がれる時間が近いからと、ここで敦賀さんを待っていたのだ。

地下の駐車場で敦賀さんの車に乗り込み、いつものスーパーへ寄り、いつものように敦賀さんのマンションへ入る。

「すぐ夕食の準備しちゃいますね。」
「いつも悪いね。何か手伝える事ある?」
「フフフ。大丈夫ですよ。敦賀さんは座って待っていて下さい。」

パタパタとダイニングへ向かう。
こうやって敦賀さんの家でたまにご飯を作るようになって暫らく経つ。
この台所の勝手もしっかり把握している。

材料をトントンと手際良く刻みながら、また考え始める。


彼女は…この台所を使っている様子は無い…のよね…。
自炊しない敦賀さんの台所は、前回私が夕食を作り、片付けたまま。
その後使った様子は全く無い。

今日の夕食のメニューのハンバーグにオニオンスープ、サラダなどをテーブルに並べると、敦賀さんは「すごく美味しそうだ。」と、笑顔でシルバーの用意をしてくれた。

談笑しながら穏やかに夕食の時間はおわり、食後に敦賀さんがコーヒーをいれてくれる。

このいつもの流れの中、リビングのソファに座り、まわりを見る。

……女性の影が全く無い。

だいたいにして、秒単位でスケジュールが詰まっている多忙な敦賀さん。
オフなんてほぼ無なところで、空いた時間や夜早めに上がれた時は私が今日みたいにお邪魔してるような。

敦賀さん、好きな人と会えてるのかしら?
もしかして…私のせいで会える時間が無いのでは?


「何を考えているの?」

心地良い低めの声が耳元で聞こえ、背中がゾクっとなった。


……好きな人にも…こんなふうに、囁くのだろうか……?
優しい笑顔で…
その声で…
愛を囁き、手を握り、見つめ合って、キスをするように…なってしまうのだろうか……?


急に胸が潰される様な痛みに、私は衿を掴んだ。


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2013.03.14 Thu l 短編 l コメント (2) トラックバック (0) l top
本日最後の仕事である撮影も終わり、楽屋で着替えをしている時社さんから話し掛けられた。

「蓮、お前あまりよろしく無い噂が流れてるぞ。」

「どんなですか?」

「…うん…。
お前が………………」

「?
何ですか?」

「お前、本当はしっかり女の子が好きなのにな…(泣)」

「ああ…
俺が同性愛者だって噂ですか?」

「そう…」

「そんな噂、今さらじゃないですか。
随分前からいろんな人に聞かれますよ?」

クスクス笑う蓮に、社は溜め息をつく。

「確かにどんな女性から誘われても乗りませんし、もちろん持ち帰った事も無いですしね。」

「たとえ…男から誘われても、乗った事無いのにな…お前。」

「その噂を助長してるの、社さんらしいですよ?」

「え!!
な…何で俺?」

「さあ…
何ででしょうね?」

「この噂を何でそんなに余裕で流せるのかが不思議だよ。」

という社に、心では

まあそんな事、母国…特にハリウッドでは日常茶飯事、特に珍しい事でもなんでも無い事ですから。嫌悪の対象にはなり得ない。

彼女さえその噂を信じてなければそれでいいんだ。


と思っているのは内緒だ。


やはりクスクス笑う蓮に、社は今日も胃薬を買って帰ろうと心に決めた。


そして同日、その噂を聞いて、しっかり信じたキョーコは鼻息荒くしながら
「敦賀さん!社さん!応援してます!!」
と拳を握っていたとかいないとか……。


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2013.03.12 Tue l Conversation of men l コメント (4) トラックバック (0) l top
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2013.03.11 Mon l Redo (続開) l top



『恋しい』という気持ちなんて…嫌い。

いつでも、私の叶わない想いを浮き彫りにする。




敦賀さんから逃げて、2ヶ月が過ぎていた。

敦賀さんのマンションの、彼の部屋番号を押す私の手は震えている。

インターフォンに出た彼はまず、何て言うかしら…とか
どちら様なんて言われたらどうしよう…とか

ぐるぐるといろんな事を考えると、足がすくむ。

……スケジュール的には部屋にいるはずと思って来たけど…留守?
まさか、私の姿を見てスルーされたんじゃ……。

更に続く沈黙に

今日は帰ろう…

と思ったその時、中へ続くドアが開いた。

現れたのは、世の女性を虜にする美貌の人。

「え?敦賀さん?」

そう言った直後に、私は彼のいい匂いに包まれた。


あぁ……だから来ちゃダメなんだ……。

彼との触れ合いは甘美で…
そして苦しめる。
まるで毒のようだと思った。

彼の腕に包まれて嬉しいと思う気持ちと、やめて欲しいと思う気持ち。
せめぎ合う気持ちは、膨らむばかり。

「ここじゃあれだし…部屋に行こう。」

彼が私の手をとり、部屋へ促がす。
でも、私は首を横に振り拒否を表す。


今日は敦賀さんに「好き」だと言って、お別れしに来た。

すっぱりフラれて、この関係を終わりにして…
また以前の様な事務所の先輩と後輩に戻ろうと思う。
いや、たとえ戻れなくても、どん底にいた私が今こうしていられるのは彼のお陰。
感謝しかない。
もう、これだけで充分だ。

「今日は遅いですし、少しだけ外で話しませ

言い終わる前に掴まれていた手の手首をとられ、強引に引っ張られる。

「きゃっ!敦賀さん!」

玄関に入ると急に体を抱き寄せられ、唇を奪われた。

抵抗したが、腰にまわされた腕と大きな手が頭の後ろを押さえていてびくともしない。

次第に深くなる口づけに、私は心が震えた。
嬉しくて、哀しくて。

リビングのソファに座らされれば「最上さん、来てくれて嬉しいよ。」と言い、神々しい笑顔を向ける彼。

「突然連絡もつかないし、会う事も出来ないから、どうしたのかと思ったよ。
元気そうで良かった。」

「……すみません…。」

するとギュッとまた、抱き締められた。

そしてとどめの一言を放つ。

「……会いたかったよ、最上さん。」



あぁ……やはり毒だ。

逃れられない…

永遠とも感じられる口づけに
魔性の様なその笑顔に
陶酔させるその言葉に
私は何度でも、また惑わされ囚われててしまうんだ。


もう…この人の誘惑には抗えない。

彼が望むなら、私の心が知れて去られる迄…
私もひとときの夢をみよう。


私は敦賀さんの大きな背中に腕をまわし「これからも、後輩として側にいてもいいですか?」と問うた。

きっと優しい彼は「YES」と言うだろう。

でも、返ってきた答えは違った。

「ごめん、最上さん。
もう、後輩なんて戻れない。」


ああ…なんだ……
そっか……そうなんだ。
ちゃんと明言されたんだ。

『お前はセフレだ』って。

やっと腑に落ちた。


そう思った時、私に纏わりつく腕の力が強まり……耳元で囁かれた。

「俺は…最上さんが好きだよ。」



**********



すみません、話は全く進んでませんね…。
次回がラストです。
濃くはないのですが、限定になりそうです。

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2013.03.08 Fri l Redo (続開) l コメント (4) トラックバック (0) l top



いつもは仕事が終わり部屋に着くとシャワーを浴びて、強めのアルコールを喉に流し混んで眠るが
その日はシャワーを浴びてもそんな気にはならず、ソファで台本に目を通しながら彼女の事を考えていた。


最上さん…


最上さんに会えなくなって2ヶ月が過ぎていた。


ソファに寝転がり、腕で目を覆い…
暗闇の中にいる最上さんを見ていた。

すると急にインターフォンが鳴った。

せっかく最上さんが笑い掛けてくれていたのに…!

時計を見れば、午前0時を過ぎている。

俺はのそりと体を起こすと、ゆっくりとモニターに目をやった。


その瞬間、息が止まった。


モニターに映っていたのは、今まさに笑い掛けてくれていた彼女だ。

それをみるや否や、部屋を飛び出した。

エレベーターが降りる時間ももどかしい。

早く!最上さんが逃げてしまう前に!

ガラス張りの重そうな自動ドアが開き、焦がれた彼女の姿を見つけた。

「え?敦賀さん?」

俺を見て驚いた顔をしている。

ここが何処かかも忘れて、彼女を俺の腕の中に閉じ込めた。

会いに来てくれた。

彼女の顔を見ると、困った顔をしている。

「ここじゃあれだし…部屋に行こう。」

俺は彼女の手を引いて行こうとすると、すぐ手に抵抗を感じた。
最上さんの方を向くと、笑顔で首を横に振っている。


嫌な予感がする。


「……最上さん?」

「今日は遅いですし、少しだけ外で話しませ

彼女の言葉が終わる前に掴んでいた手の手首をとり、強引に連れて行く。

「きゃっ!敦賀さん!」

俺は無言で部屋に最上さんを入れると、まだ玄関だというのに彼女の唇を奪った。

逃れようとする最上さんの後頭部を掴み、もう片方の腕で彼女の腰をロックする。

彼女の唇は甘く、心が震えた。
嬉しくて。
その抵抗が、哀しくて。

何度も角度を変え、口づけを次第に深くしていけば
同じ様に、次第に抵抗の力が弱くなっていった。


名残惜しいと思いつつ、唇を離すと彼女は途端に荒い呼吸を繰り返した。


その手を取り、リビングのソファに座らせる。

「最上さん、来てくれて嬉しいよ。」

ニコリとする俺とはうらはらに、最上さんの顔に笑みは無い。

「突然連絡もつかないし、会う事も出来ないから、どうしたのかと思ったよ。
元気そうで良かった。」

「……すみません…。」

彼女はポツリと言った。
彼女の隣りに座り、腕の中に閉じ込める。

「……会いたかったよ、最上さん。」


何も言わない彼女。
抵抗が無い事をいいことに、沈黙と共に抱き締め続ける。

すると、ゆるゆると最上さんの腕が俺の背中にまわされた。

「これからも、後輩として側にいてもいいですか?」



腕の中の最上さんは、小さい笑みで…

なんて残酷な事を俺に言うんだろう……。


…後輩……。
最上さんは、ただの後輩でいたいのか?
後輩としてでないと、側にはいてくれないのだろうか?

嫌だ。
もう、戻れない。

「ごめん、最上さん。
もう、後輩なんて戻れない。」


この先の言葉を言ったら、彼女は二度と俺の前に姿を見せてくれないだろうか?



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2013.03.07 Thu l Redo (続開) l コメント (6) トラックバック (0) l top


「敦賀さんが好きです。」

にこやかだった敦賀さんが、その言葉を聞いた途端に顔色が変わった。

「俺は君に対してそんな気持ちは無いよ。
そういう気持ち、迷惑だから…
……もう会うのも止そう。」

敦賀さんは嫌なものを見る様な目で私を見る。

「待って下さい、敦賀さん!」

去って行く背中。
私は追い掛けようとするが、追いつけない。

「待って!
待って下さい!敦賀さん!!」


自分の大きな叫び声で目が覚める。
天井に伸ばされた自分の手。


なるほどね!!
温厚紳士の敦賀さんにしてはズバッといい切れ味してるはずよ!!

全部私がここ最近ぐちゃぐちゃ一人で悩んでた事じゃない!

…良かった……

まだ 夢で……



敦賀さんと会わなくなってもうすぐ1ヶ月。


きっかけは些細な事だった。

ショーちゃんがケータイにかけて来たのだ。
番号でわかり電話は出なかったから、何の為だったのかは知らない。
声も聞きたくなかったから、それを期に番号も一新しようと、新規にしてケータイを替えた。


仕事関係者にもだいたい連絡し、あらかた皆に番号が変わった事を連絡し終えた。

最後に敦賀さんにメールしようとした時……

手が止まった。



敦賀さんにとって、私は何だろう?


…セフレ……じゃ…ないよね?
敦賀さんの所に行っても…しない時だってあるし。
……多分…違う…はず。

もちろん…恋人…でもない。

やっぱり…ただの先輩と後輩?


私は敦賀さんの事が好き。


でも、敦賀さんはそんなもの望んでいなかったら?


このままの関係を続けていたら、私……

きっと気持ちを隠し通せない。


そこで、このところ毎日の様に見る夢を思い出す。

あの夢の様に

その気は無いと…
迷惑だと…
もう会うの止そう…と言われたら…

私はどうすればいいのだろう。


もともと抱いて下さいとせがんだのは私の方。都合のいい女に、自分からなったのだ。

なんて馬鹿なことをしたんだろう。
後悔ばかりが押し寄せる。



……会いたい…

会いたくて会いたくて、たまらない。

でも怖い。

会うのが怖い。

母やショーちゃんの様に、きっと敦賀さんも去って行ってしまう。


そう考えたら、連絡出来ず避ける様に…

逃げた。


敦賀さんのスケジュールを可能な限り聞き、どうにか今まで逃げてきた。


今はまだ、この気持ちを隠し通す事も、不義理な後輩の私がどんな顔して会えばいいのかも…わからない。


そうして、毎夜毎夜…私は同じ夢を見る。



もし叶うなら…

あの夜に戻りたい

初めて敦賀さんに抱かれた…あの夜に戻って


やり直したい


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2013.03.06 Wed l Redo (続開) l コメント (2) トラックバック (0) l top



最上さんと会えなくなってもうすぐ1ヶ月。



その間、なんとか最上さんを捕まえられないか模索していた。

事務所に最上さんの家の住所を聞き行って見れば、何ヶ月か前に引っ越したと隣人が教えてくれた。
時期を聞けば、ちょうど初めての夜のすぐ後あたりだ。


社さんに最上さんのスケジュールを入手して貰っても、不思議なくらい会う事は出来なかった。




なぜ彼女は俺の前から消えてしまったのだろう。



俺は彼女に何かしてしまったのだろうか。

それとも、誰か良い人が出来てしまったのだろうか。


良い人?

ダメだ!
他の男なんかに彼女は渡さない!!




ふと、遠くを見ながら彼女の笑顔を思い出す。


なんて可愛いんだろう。
その笑顔を頭に描いただけで、俺の心が急激に熱くなる。



……会いたい……


会いたくて会いたくて、仕方が無い。




いなくなって初めて、彼女の尊さを思い知った。



彼女がいる空間や時間が好きだったんじゃなく、彼女自身が好きだったんだ。

彼女がいたから、その空間は心地良かった。
彼女がいたから、その時間が楽しかった。


そんな当たり前の事が、俺にはわかって無かったんだ。


彼女が目の前からいなくなる事なんて、欠片も想像してなかった。


彼女と俺の関係は、こんなにも脆く崩れてしまうものだった。
それはそうだ。
俺は彼女の気持ちを聞いた事は無い。
俺も言った事なんて無いのだから。





俺は、初めて本気でやり直したいと思った。
あの最後の日。
彼女は「やり直したい事がある」と言った。


あの日に戻り、やり直したい。


最上さんに好きだと伝えたい。


どこにも行かず、俺の側にずっといて欲しいと…。
嫌わないで欲しいと…。

伝えたい。




たとえ彼女の「やり直したい」事が
俺との関係や今までの時間で
無かった事にしたいと思うほど俺の事が嫌になってしまったのだとしても……


何度でも、最上さんに伝えたい。


「好き」だと……


何度でも。



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2013.03.06 Wed l Redo (続開) l コメント (0) トラックバック (0) l top

俺は、最上さんと過ごす時間が好きだった。


DVD観た後に感想を言い合う時間。
芝居の役柄について語る時間。
温かで美味しい彼女との食事の時間。
もちろん、彼女に翻弄される情交の時間も。


最上さんと過ごす時間は、とても心地良い。
全てを夢心地にさせてくれる時間を纏う最上さんを、俺は本当に可愛いと思っていた。




呑気な俺はこの時まだ、俺の間違いに気付いていなかったんだ。




色事の時の最上さんの控えめな声は、いつも俺を酔わせる。
その身体は俺を誘惑し、俺はいつも余裕なく打ちつけるばかりだ。
もっと気持ち良くしてあげたいと思っているのに、いつの間にか俺の方が楽園へと連れていかれる。

最上さんと、天国の様な悦楽を一緒に分かち合いたい。


何度交わっても、もっと…もっと…!と湧き上がる欲情。

まるで麻薬のようだ、と思った。




情事の後は、いつもベッドでもつれあう様に気怠い時間を過ごした。

その日も、いつものように。

キスを何度もしながら、指を絡ませ…
お互いの息が掛かる程の距離で会話をする。

「敦賀さん…」

「ん…なに?」

彼女は絡ませた指に力を少し入れ、ギュッと握る。

「敦賀さんは、やり直したいと思った事…有ります?」

俺はふと、アメリカにいた頃を思い出した。
やり直したところで、違う人生が歩めるとは…思えない。

「……どうかな…。」

「私は……有りますよ。」

彼女は俺の方は見ずに小さく言った。






その日を最後に、最上さんはいなくなった。



いや、会えなくなった…というのか。



毎日とは言わないが頻繁に会っていた彼女が、パッタリと来なくなった。
ケータイに電話しても無機質な女性の声で「お掛けになった番号は現在使われておりません」というばかり。
もちろんメールを送っても宛先不明で返って来てしまう。
偶然でもたまに会っていた事務所やテレビ局でも、会う事は一度として無かった。


そんな事態になって、俺は初めて知った。

あんなに一緒にいたのに…
俺は最上さんの事をあまり知らない。
住んでいる家さえ知らないんだと。



今まで職場でたまには会えていたんだ。
それが無くなったという事は……

つまり最上さんが俺を避けているという事。
会いたくないと思っているという事だ。





俺は彼女に嫌われてしまったのだろうか。



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2013.03.05 Tue l Redo (続開) l コメント (2) トラックバック (0) l top





朝起きて、私は驚愕した。
何も纏っていない自分の姿と、昨夜の痴態に。

恐る恐る隣りを見れば、寝ている姿も麗しい男の半裸体。

私は敦賀さんの優しさを利用して、とてつもなく破廉恥な行為をしてしまったんだ。

私はそーっと、軽く巻き付くしなやかな腕をすり抜け、横に置いてあった私の昨日着ていた服を持って寝室を出る。


マズイわ。
体が…腰が…
特に、レディゾーンが…痛い。

助かった…。今日の仕事は夕方からで、日中は学校に行こうと思っていたから…学校は休もうかな……。


服を着ながら、昨夜の事を思い出す。
いくらどん底まで落ちていたとはいえ、事務所の大先輩に…
こともあろうか痴女の如く迫るなんて…。

あの逞しい体にしがみつき、痛みの果ての快感にのまれ、彼の吐息に高揚した。


な……なんて事を……。

でも……お陰で昨日は1人で過ごさずにすんだ。
おまけに、昨日のどん底な気分とはうらはらに…今、思ってたよりも元気だ。



……何も聞かずに、抱いてくれた…。



私は昨日のお礼にと、朝食を作る事にした。


敦賀さんにはだいぶ迷惑を掛けちゃったな。
昨日の事は忘れて貰って、キチンと普段通りの私に戻らないと。
もうこれ以上、彼に甘えちゃダメだわ。

一息ついて、敦賀さんを起こしに行った。




それから、何処で会っても私は普段通りに接した。
『一度寝ただけで、親密になったなんて勘違いしてないから安心して欲しい』と暗に言いたいのもあった。


ある日、楽屋に入る私を呼び止めた敦賀さん。

「また、最上さんのご飯食べたいんだけど。
今日の夜…空いてる?」

「へ?
いいですよ?」

そんなに私の食事が気に入ってくれたのかしら?

その日の夜。
食事の用意もそこそこに、寝室に連れて行かれ……二度目の情事へといざなわれた。



それ以降も、何度となく部屋に誘われるようになった。
最初は…敦賀さんの性欲処理に、私はちょうど良いのかと思ったが……
でも、部屋に誘われても、食事して、ただDVD観たり、芝居について語ったり、近況を報告したりするだけの日もあった。




優しい語りかけに…
楽しい空間に…
甘い口づけに…
めくりめく情事に…
事の後の彼に包まれる甘やかな時間に…



私という人間の存在が許されたように感じた。






どん底を足掻きもがいている私が…

彼に恋をするのは火を見るよりも明らかだった。





**********




今日、始めの十何行かを手違いで消去しちゃいました。
しかもバックアップもとって無かった(泣)
なので書き直ししたんですが、明らかに違う!

自業自得ですが…本当にショック!


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2013.03.04 Mon l Redo (続開) l コメント (0) トラックバック (0) l top




嫌な事というのは

だいたい立て続けに起こるもの




あの日も、そんな日だった。





私は元から母との縁が薄かった。
母は幼い私を人に預け、完璧じゃない私には見向きもしなかった。

幼馴染のショーちゃんと一緒に松乃園を飛び出した時には、もう既に何年も母に会っていない状態で。
もちろん、東京に来て芸能界に入った今も一度も連絡さえ無かった。

あの日、ケータイに一本の連絡があった。

相手はショーちゃんのお母さんである、女将さん。
「母が亡くなった」という内容だった。
いや、正確には「亡くなっていた」かな。

女将さんも今日知ったと連絡してくれたらしい。
なんでも、少し前から病気を患っていたらしく、入院していたのだとか。
病院には、自分に肉親はいない。
もしもの時は、弁護士に連絡して欲しいと。
そして…その『もしも』が起こり、私に連絡が来る訳も無く。
たった1人の肉親であり唯一無二の母親の死も知らず、みとる事も出来なかった。


私は……母にとって存在しない人間になっていたらしい。


お粗末な事に、その事実を知ったのは葬儀も何もかも全てが終わった後だったのだ。親族では無い女将さん経由で。


とうとう私は、本当に天涯孤独になったらしい。
そして、母にとって私は、本当に要らない人間なのだと思い知った。




嫌な事というは続くのが、この世知辛い世の中の理。


その連絡の後、私はショーちゃんに会いに行った。
慰めて欲しい訳じゃない。
ただ、聞いて欲しかった。
今までの内情をよく知っている人が近くにいなかったし…この孤独感で、1人になりたくなくて。


テレビ局のベンチにいたショーちゃん。
マネージャーの祥子さんと話していたあの言葉。

それはすごい衝撃だった。

私を家政婦とのたまい、地味でつまらねー女だと……。

そこらのゴミと同じ様に、いとも簡単に私という存在を捨てたのだ。


世界の全てだったショーちゃん。
母にかえりみられなくても、ショーちゃんがいれば良かった。
芸能界に入ったのもショーちゃんと一緒にいたいから。
何をするのもショーちゃんの為。


私の全てだったショーちゃんも、私は要らないと言うの?


私は何のために生きているの?


どうやってそこまで歩いて来たのかわからない。
私はウロウロと暗い道を歩いていた。
何処に向かっている訳でもなく。

そんな私に声を掛けてきたのが、敦賀さんだった。

泣いているばかりで何も言わない私に、困った敦賀さんは自分の部屋へ入れてくれて。
温かい珈琲に敦賀さんの優しさが伝わってきて、胸が潰れるかと思った。


今日だけは1人でいたくない。

どうしても、今日だけは……!


「地味で色気もねー女」
その言葉が頭の中でリフレインする。

私は敦賀さんの優しさにつけこんで、バカなお願いをした。

「抱いて下さい」と。

何度も何度もお願いをした。
どうしても、1人になりたくなかったから。
今、この一瞬だけでも…私の存在を許して欲しい。


そうしてあの日、私は敦賀さんに抱かれた。





**********




回想になりますね。
パラレルなので…本編では冴菜さんは本当はご存命だと思います。


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2013.03.01 Fri l Redo (続開) l コメント (0) トラックバック (0) l top
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2013.03.01 Fri l Redo (続開) l top
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