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2013.09.18 Wed l 短編 l top
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2013.09.17 Tue l 短編 l top
いつもの時間のいつもの場所に…

俺は今日も1人揺られている。

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2013.09.12 Thu l 空の青 l コメント (4) トラックバック (0) l top

いつもの時間の、いつもの場所で…
名も知らぬ彼女と同じ空間を過ごす小さな時間を、俺は毎日心待ちにしていた。

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2013.09.10 Tue l 空の青 l コメント (4) トラックバック (0) l top
『はじめまして、Mr.敦賀。ヘレン・アーウィンです』

翡翠色の大きな瞳に俺が映り、芸術品のような微笑を携え握手を求める。

『はじめまして、敦賀蓮です。お会いできて光栄です』

滞ることなく握手を交わし、微笑を返す。



監督の予告通り、カイン・ヒール = 敦賀蓮 と発表したのは1ヵ月前だった。
その事実は大きな、それはそれは見事な反響だった。
観たことのある人はもちろん、日本中が驚愕した。
日本映画の興行収入にトップテン入りしていたTRAGIC MARKERが、大差をつけてトップになったのは発表後わずか1週間後のことだ。
特に一番の反応があったのは、村雨くん先頭にTRAGIC MARKERのスタッフの面々で。
今シーズンのドラマで共演している村雨くんには早々に謝罪したが、「敦賀さんの演技力…怖いです」と言われてしまった。




周囲が湧き立った最中でも、俺の心は穏やかだった。
キョーコが俺の過去に揺るがず、今もこうして傍にいてくれる現実に。

俺とキョーコがコツコツと靴音を響かせ歩いているのは、社長の家の豪華な廊下だ。

「今日の呼び出し、内容を社長から聞いてますか?」

「いや、聞いてないよ?………でも、もしかしたら…」

そう言いかけたが、その先の言葉よりも目的地である大きな扉の前に着いてしまった。
彼女命名「セバスチャン」が中へと案内してくる。
中にいた人物に俺は「やっぱりか…」と呟いた。





『今日は妹さんじゃないのね』

きちんと話をするようにと与えられた社長宅の個室で、向かい合う3人。

『カイン・ヒールの正体を発表したからには来ると思ってたけど、随分と早かったな。
前回日本に来てから、まだ2ヵ月と経ってないよ?』

俺はヘレンの言葉には答えず、揶揄く微笑む。

『……妹さんの気が済んで、そろそろ頃合いなんじゃないかしらと思って。
でも、もう違う子ね』

呆れた、とでもいうようにフウと息をつく。

『……紹介するよ。カイン・ヒールの妹役で、俺の恋人の京子だ』

キョーコの腰を抱いた。

『え?カイン・ヒールの妹…って……』

『前回もお目にかかりましたが、京子です』

キョーコは丁寧なお辞儀をする。

『まさか…あの…妹さんなの?』

『はい、その節はご挨拶もせず失礼しました』

ニコリと微笑むキョーコの手をそっと握った。

『ヘレン』

未だ信じられない、というような彼女に声を掛ければヘレンもこちらを向く。

『待ってもらっても、ヘレンには帰らない。
俺は京子を離すつもりはないんだ。たとえ京子が望んでもね』

『クオン?』

『この子を愛してるんだ。
あの子以外は要らない』

『どうしっちゃったの?最近そんなセリフの撮影でもあった?』

『本心だよ』

『いやだ、私じゃなきゃ本気にしちゃうわよ?
貴方はそんなタイプの人じゃないでしょ?私はちゃんと貴方のこと理解しているわ。
貴方の愛はみな平等。でも、私はそれでも構わない。
本当に貴方を理解できるのは、私だけよ?その子なんかよりよっぽど以前から貴方を知ってる。
ね?私のところに早く帰って来て…』

お願い…と手を俺の腕に添え、懇願する。
たぶん……以前の俺なら、ヘレンの言葉は正しく、俺も首を縦に振っていただろう。

小さく嘲笑する。

『出会いは…京子の方が早いんだよ』

『え?そんな…はずないわ。だって…出会った時、貴方は12歳だった…』

『京子とは、10歳だった時に出会ってる』

その言葉に驚いたのはキョーコの方だった。
キョーコを見ればパチクリというように目を見開き、え?とか、は?と顔に書いてある。
その可愛い額に軽くキスを落とす。

『京都のとある河原で、会っただろ?』

微動だにしない彼女になおも話を続ける。

『俺のことを妖精と間違えていたじゃないか』

キョーコの驚愕の顔と意味のない言葉が部屋に響いた。
俺はヘレンに視線を戻し話を再開した。

『ヘレン、悪かった。
俺があっちを発つ時、君にきちんと別れを言うべきだったんだ。
もう君のところには帰れない。
長いこと片想いしてやっと手に入れた大切な人だ』

隣りにいる小さな肩を抱き寄せる。

『片想い…?クオンが?』

『付き合ってもいないのに、他の男に嫉妬したり牽制したりもした。
……今もか』

自嘲の笑みが零れる。
言葉にならないらしいヘレンの顔には、驚愕の色がありありと見て取れる。
次第に哀の瞳へとかわる。

『……クオンは…本気なのね?』

唇をギュッと引き締め、彼女の頬に雫が伝った。
俺は首を縦に振る。
短い沈黙の後、ヘレンは乾いた笑みを漏らす。

『本当はね、わかっていたのよ。
他の誰も貴方の特別にはなれないように、私もなれないんだって。それでもいいと思っていたの。
だって…私もなれないように、他の誰も特別にはなれないんだから。
だから、貴方がある日消えてしまった時、一言もなく置いて行かれたことも理解した。
ああ…終わってしまったんだ…って。
貴方は、とうとう特別な人を見つけてしまったのね…』

そう言い、フワッと懐かしい彼女の香りと共に緩く抱き締められた。
そして瞬く間に彼女は一歩離れ、キラリと濡れた瞳で微笑んだ。




社長宅からの帰りの車内は静かだった。
キョーコが今何を考えているのかが怖くて、前置きもなく話し出す。

「ごめん、キョーコ。コーンのこと、内緒にしていて」

「私の知ってるコーンは、黒髪に黒い瞳じゃないですよ?」

「…髪は定期的にミス・ウッズに染めてもらってるし、瞳はカラコンを使ってるんだ」

「大きな父は…先生のこと…だったんですね」

「うん」

それを最後に沈黙が流れる。
暫らくの沈黙の末に、急に大きな声で彼女が言った。

「敦賀さん!お腹空きましたよね!」

「え?」

そう言ってマンションに着いてすぐ、キョーコは料理を始めた。
間もなくして俺の前にデン!と置かれた料理は、俺の父が満足するのではないだろうかと思う程の量で。

ただ一言

「ヘレンさんが来なかったら、私はずっと…知らないままでしたかね…?」

そうニッコリ笑顔で食事を勧められた。

彼女の言葉を否定し、もちろん話そうと思っていたと何度か言ったが、
その後3回ほど同じ量の食事を出されたとき、俺は心の中でぼやいた。


「             」


その内容は、敢えて俺だけの秘密だ。




**********



Wish秘密編は完結です。
今回は『秘密』を一挙に公開しよう!のお話なので、誰もが想像したありがちな話で申し訳ないです。
もうこの際だから、久遠バレ、コーンばれ、坊バレ、ついでに今までのクオンの付き合い方まで、秘密は全部暴露な感じで盛り込みました。
次のWishのお話も構想を練っているので、今度はWishを忘れらさられる前にUPできたらなあなんて考えてます。
でも、その前に『空の青』の続きを次回UP予定です。

今までお付き合い、ありがとうございました♪


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2013.09.06 Fri l Wish l コメント (4) トラックバック (0) l top


ヘレンさんがアメリカへ帰ったのは、それから2日後のことだった。
滞在中ヘレンさんは、近衛監督に何度もカインへのコンタクトを頼んでいたようで。
敦賀さんや社長の言葉通り、監督はやんわりと断ってくれた。
お陰でその後彼女と敦賀さんは会うことなく、渋々といった感じでヘレンさんは帰米したのだ。



「敦賀さん、今日はスペアリブのスイチリエスニック煮込みです。ちょっとエスニックなお味にしてみたんです」

にっこりと微笑む私に彼が近付き、少しかがむとこめかみにキスをした。
テーブルには照り光るスペアリブに海老と帆立のセビーチェ、彩りの鮮やかなサラダやキノコのシチューが置かれている。
香しい匂いに、作った私のお腹が鳴る。
空腹中枢の壊死した敦賀さんには、この恥ずかしさはわからないでしょうね…うう。

2人で席に着きにこやかに食事をしていると、やっと忙しくも平穏な日々が帰ってきたと実感する。
食べ終わった後のコーヒータイム。
その憩いのひと時に、私は小さな声で聞いた。

「敦賀さん本当は、ヘレンさんと別れたくなかったんじゃないですか?」

「はあ?」

本当に予想外だったのか、危うく口を付けていたコーヒーを吹き出しそうになった彼。

「君は…まだ俺の事がわかってないのか…?」

瞬時に下がる外気と、大魔王の雰囲気。

「違います!違います!」

両手をブンブンと大きく振る。

「何だか…ヘレンさんは特別だったんじゃないのかなって…」

「やっぱり、さっぱりわかってないじゃないか」

グッと私の腰を引き寄せ、ソファに身体を沈めさせた。
その表情は冗談のような軽いものではなく、あくまで真剣だ。

「だって…日本へ発つ時、敢えて別れも言わずに、なんて。
本当は別れを言いたくなかったのかな…って」

普段の彼から、疑うべくもない愛情をもらっている。
だが、それは『今』だからで。
昔は彼女が好きだったのかと思うと、胸の奥がギュッと何かに掴まれたかのように痛くなる。
万人を虜にする容貌と演技力、魅惑の身体と敦賀さんへの愛情。
世界中の誰に聞いても、誰しもがヘレンさんを推すだろうだろう。
だって…本当に魅力的なひとだもん。
いずれは敦賀さんも私から去って行ってしまう。そうしたら彼女の言う通り、彼はヘレンさんのところへ帰ってしまうのではないだろうか。

『今』の愛情は、私も信じている。
でも………この内からくる不安を、どう言い表せばいいのかわからなかった。

怒りに燃える彼の瞳を見ながら、この気持ちをこれ以上怒らせずに聞いてもらう方法を考えた。
『寝言』の件から、何でも話そうとお互い約束したのだ。

ふと、怒りの視線は影をひそめ、彼が横を向いた。

「敦賀さん?」

「……忘れてたんだ」

「何をですか?」

彼は逸らしていた視線を戻し、哀しい笑みを浮かべ言った。

「俺の特別は君だけだ。
ヘレンは特別じゃない。他の誰も、俺の特別にはなれない。
これからも、ずっと」

柔らかな唇が触れ合う。
軽い触れ合いの後、敦賀さんは話を続けた。

「あの時は、身動きすらとれなくて…
社長の言葉に、とるものもとりあえずアメリカを発った。
そんな中、俺は恋人だったはずのヘレンの存在なんて…忘れてたんだ」

酷い男だろう?と言いながら、自虐的な笑みが向けられた。

「昔の俺の中の『恋人』なんて、その程度でしかなかった。
それが普通だと思っていた。キョーコに恋するまで」

敦賀さんの大きな両手が私の頬を挟み込む。

「この歳で…って思うかもしれないけど、俺の初恋は君なんだ」

ああ、そうだった。
鶏の『坊』に言っていた敦賀さんの言葉を思い出す。
彼は私に、しっかり「恋とはなんぞや」と問うていたではないか!

ーーーーーーー!!

私はここである事に気が付いてしまった。

彼がせっかく、私だけが特別で、ヘレンさんをはじめとする以前の恋人達に恋心などなかったと、感動すべき甘い言葉を贈ってくれているというのに。
私ときたら、今までの胸の疼きもすっかり吹き飛んでいた。


頬を包み再度唇を重ねようとしている敦賀さんから飛び退く。
そのままソファの下に正座し、指を揃え、額がラグに擦れるほど深々と頭を下げた。

「す!すみません、敦賀様!わたくし、まだ言ってなかった事がございます!」

突然のことに茫然としている敦賀さん。
その彼が、この後の私の言葉に驚愕と羞恥で絶句したのは言うまでもありません。




「あの…鶏の中身は私です」



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2013.09.04 Wed l Wish l コメント (2) トラックバック (0) l top
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