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「最上さん、好きだよ。
ずっとずっと、想っていた。」

俺は長い片思いの終わりを願って、生まれて初めての告白をしている。


場所はホテルの最上階レストラン。
華やいだ装飾だが落ち着いた雰囲気な所で、目の前のガラスから下を見れば宝石の様な光が輝く。
告白をするなら、最上さんの好みそうな感じで…と考えての今。


『Yes』と言って欲しい。
俺の彼女として、隣りにいて欲しい。
18歳になって瞬く間に綺麗になっていく最上さんは、ますます馬の骨を増産させていき、もう想いを秘めるのも限界を感じていた。

テーブルの上のロウソクが揺れるが、向かいに座るまだ反応が無い最上さん。
顔を見つめながら、両手を優しく握ってみる。

「冗談でも、嫌がらせでも、ドッキリでもない。
君が好きなんだ。
ねえ、俺と付き合って?」

流石にちゃんと真意は伝わっただろうと考えてながら微笑む。


するとガタンと椅子から立った彼女は、フラリと出入り口の方を向いたとたん、そのまま走り去って行く。

「え??最上さん?!」

慌てて追い掛けるが、エレベーターは既に下の階へ動いている。
こんな高層の最上階では、階段を使っても間に合わない。


******


え??どういう事??
何が起きたのだろう。

今日は敦賀さんに食事を誘われて…
いつも作って貰ってばかりだから、今日はレストランを予約したんだと言われて…
素敵な夜景をのぞみながら、デザートまで堪能したら…

「最上さん、好きだよ。
ずっとずっと、想っていた。」

その言葉を思い出し、顔を真っ赤にしながら頭を抱えてみる。
だるま屋の自分の部屋に帰るとへなへなと座り込み、今までの事を思い出す。


すると携帯が震える。

予想通り、『敦賀さん』の表示。

それを見ながらまた考える。
だって!だって!敦賀さんには好きな子がいるはずでしょう?
坊の時に私はハッキリとこの耳で聞いたもの。
なのになんで?
冗談じゃないの?
嫌がらせじゃないの?
ドッキリじゃないの?

だって、敦賀さんが私なんかを好きなんてあり得ない。

携帯が何度も何度も震える。
それが切れた頃、おかみさんが私の部屋をノックした。

「キョーコちゃん、事務所の方がみえてるよ?
敦賀さんだったかしら。」

「おかみさん!私、ちょっと今日は会えません!
本当に申し訳ないのですが、そう伝えてもらえますか?」

「え?でもいいんかい?事務所の先輩なんだろう?」

「すみません。本当に今日は…」

今にも泣きそうなキョーコをみて、
「わかったよ。今日は帰って貰うね。」
と下に降りる。

だって…私の最後の鍵がはずれてしまったら…
もう元には戻らない。
前回のアイツの時より、愚か者になる自信がある。
もしあの箱を開けてしまった後に、敦賀さんのあの言葉が冗談だったら…勘違いだったら…嘘だったら…。
私は、どうすればいいんだかわからない。


******


だるま屋まで行ってみたが、結局最上さんとは会えなかった。
何度電話しても呼び出し音が聞こえるだけ。

次の日も次の日も、何度電話しても電話に出て貰えない。
いつもなら、事務所でたまに会えていたが全く会えない。
せっかく連絡するなら声が聞きたいからとアドレスは聞いていなかったから、最上さんに直接言葉を伝える事もできない。

社さんがラブミー部の依頼として食事の世話を何度かお願いしたが、全てお断りされたようだ。

なんとか最上さんを捕まえようとしたが全く捕まらない。
時間だけが過ぎて行き、気がつけば告白し避けられてから1ヶ月になろうとしていた。


これは…
フラれたんだろうな。

俺の想いは、最上さんにとって迷惑でしかなかったんだ。

だいたい俺は幸せになる資格なんてないんだから、当然の結果じゃないか。


想い告げれば、今までのような関係でもいられなくなる事はわかってたはずだ。

愛を全霊で否定する彼女の中で、俺の事も否定する存在になってしまったのだろう。
きっともう、家で食事を作ってくれる事も、演技の相談にのる事も、電話で話す事も、
……俺に笑顔を向けてくれる事も…
無くなってしまった。


真っ暗な自分の部屋でソファーにもたれ、自嘲な笑みと共に涙が零れた。



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2013.02.13 Wed l 短編 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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