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女の私よりも滑らかな…肌。
長くて綺麗な、でもちゃんと男らしい手。
その手に握られた自分の手が、やっぱり相変わらず小さく見えて…私はそっと目を閉じた。

「私は…ヒズリさんに、そこまで嫌われていたんですか…?」

頭の下にあったヒズリさんの腕がピクリと反応した。
後ろからまるで抱き締められているような体制に、彼の素肌の感触と温かさがダイレクトに伝わる。
私は彼の返事を聞く前に、また言葉を発した。

「それとも、また『賭け』…でしょうか」

ゆっくりと目を開ける。






ヒズリさんは知らない。

あの日のヒズリさんからの告白が、どんなに嬉しかったか…。
一緒にいられる時間が、どんなに輝いていたか…。
微笑み掛けてくれるその顔に、何度惚けてしまったか…。
その低めの心地良い声に、酔いしれてしまっていたことも。
貴方の構成する何もかもが愛おしいと思っていたことも。

……………。

『賭け』の事を知って本当にショックだったのは、3ヵ月過ぎれば一緒にいれない事だった。
彼の優しさが『賭け』の為だとわかると、それが辛くてしょうがなかった。
だからちょうど3ヵ月のあの日、言ってくれない彼に私からお別れをした。

でも、それは間違いだったと…後になってわかった。

次の日、綺麗な女性と手を繋いで歩いているのを見て…心臓が黒い炎に焼き尽くされたように感じた。
彼は来るもの拒まず去る者追わず。
いつでも皆が告白するチャンスを狙っていて、『彼女』と別れたと聞くや否や誰よりも早く告白を…というのが暗黙の了解だ。
それがしっかり実行され、私と別れた次の日には『彼女』と手を繋いで帰るという…傍目から見たら至極日常の一コマ。

その2人の姿を見て初めて、別れの言葉など言わなければ良かったと…。

あの日私があんな事言わなければ、もう少しくらい一緒にいられたんじゃないだろうか…?
たとえそれがどんなに短い間でも。
たとえそれがどんなに仮そめのものでも。
一分一秒でも長く、彼に別れを言われるその時まで…一緒にいられたんじゃないだろうか。

そんな落ち込む私に声を掛けてくれたのが、光さんだった。
その都度断る私に、何度も食事を誘ってくれた。
気晴らしに映画にと誘ってくれて、あまり断るのも失礼だからと受けたのだ。

「けっこういい映画だったよね」

明るく笑う光さんを見ながら、ヒズリさんと映画を観た時もこんな風に話をしたな…と考えていた。
その後食事にでもと言われたが、どうしてもそんな気分になれなくてお断りした。
…その時

「俺、キョーコちゃんのこと好きだよ。
ヒズリさんのことで落ち込んでいるのは知ってる…だから、返事は今じゃなくていい」

そう、告白された。
私はそのまま家に帰って来たのだ。


そして、23時を過ぎた急の訪問者にビックリした。
突然来て、扉を開けると勝手に部屋に上がり込み、そして…………。



そう……ヒズリさんは知らないんだ。

付き合っていた時、私が彼の部屋に行く度に…落胆していたことを。


社内に点在する『告白待ち』の綺麗な女性達。
その一人と、化粧室で偶々一緒になった。
その女性は、私を撫でるように見て言ったのだ。
「クオンさんは、あなたで満足してると思ってるの?」と。

ハニーブラウンのストレートの髪に、パッチリとした瞳。
小柄な身体だというのに、服の上からでもわかる豊満な膨らみ。

フフ…と不敵な微笑みを残し去った女性。

私は目の前の鏡に映る自分をただただ見つめた。

それから、彼の部屋から帰っては落胆していた。

出るべき所が満足に出ていないから、
女性らしい綺麗な曲線じゃないから、
私が誘い方もその行為すら知らないお子様だから、

ヒズリさんがその気になれないのだと。



……………だから

たとえこれが、私に対する嫌がらせだとしても

同僚との『賭け』やゲームだとしても

酒に呑まれてのことだとしても

なんであっても


私は………



「私が近くにいるのは見苦しいですか?」

突然来たヒズリさんは、怒っているようだった。

「それとも、未練がましくしてないで、早く誰かと付き合って欲しいとか…?」

どこかで私が未練があるとでも聞いたのだろうか。

「もし、また『賭け』をしているのなら、ちゃんと言ってくれれば協力しますよ?」

クスクスと笑いながら、何も言わないヒズリさんに言う。

すると、枕にしていた彼の腕が私の頭に巻き付き、片方の握られていた手を離され、その腕が身体をきつく抱き締めた。

「ひ…ヒズリさん……?」

強く抱き締められるかたちとなり、自然と彼の息を首元で感じた。


そして、無言だった彼は耳元で囁いた。




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2014.01.21 Tue l Ставка l コメント (4) トラックバック (0) l top

コメント

前回コメントし損なってたっぽい!
もー!!風鳥さんのお話素晴らしいです!!

ホントこれからどうなるのか楽しみです!!
クオン君は何と答える気なんでしょー!!
2014.01.21 Tue l 風月. URL l 編集
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2014.01.21 Tue l . l 編集
風月様
コメントありがとうございます♪

わー!そんな風に言って頂けると嬉し過ぎて恐縮します~。
ヤル気の源、ありがとうございます!

あとはラストに向かうのみ、ですね♪
2014.01.22 Wed l 風鳥. URL l 編集
Re: キョコさん。

S様

コメントありがとうございます♪

社内でキョコさんに言ってた『順番待ち』の女性は、キョコさんのすぐ後に付き合いだし…クオンが初めて『別れを告げた』お方ですw

今度こそ、意志疎通できるようラストへと万進いたしますー!
2014.01.22 Wed l 風鳥. URL l 編集

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