上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

--.--.-- -- l スポンサー広告 l top


「キス……していい?」

耳元で囁く声の吐息がむず痒く、そのせいか甘く聞こえる。
だが、言われた言葉の意味を脳が拾い上げ驚く。




いや…まずいのではないでしょうか…?
こんな事した後に言うのもなんですが……彼女さんに悪い…ですよね?

驚きに目を丸くしながら、心の中で問いかける。

そんな私に構う事なく、ヒズリさんは頭に巻き付けた腕を外し、強引に首を後ろに向かせた。
それと同時に塞がれる唇。
強引に押し通した行為とはうらはらに、酷く優しいその感触に抵抗を忘れた。

「やっぱり…」

彼の口からポツリと言葉が零れた。
そして今度は彼自身が身をのりだし、私にのしかかる。

「…っ…!」

一瞬触れるだけの口付けを落としたかと思うと、彼の唇は当たり前のように私の口を塞いだ。
先程の優しいその行為とはまるで違う、情熱的というより貪るような口付けは私の思考を溶かして行った。


「最上さんは、他の人と一緒にいるのを見ただけで黒い業火に心臓が焼かれるような…
そんな気持ちになったこと、ある?」

内容は激しいが、彼は静かな声で問い掛ける。

「黒い業火…嫉妬、ですか?」

そんな黒くて身勝手な、嫉妬の炎に焼けるような気持ちになったのは、ほんの先日の事だ。

「ありますよ」

「他の人といても、何か違うと感じたことは?」

今日…もう日付が変わっているから昨日か……
光さんに映画へ連れて行って貰ったけど、考えるのは結局ヒズリさんの事ばかりだった。
食事も映画も、どこに行くのも、私はいまだに貴方がいいのだと思ってしまう。

「ないですよ。男女のそれという意味なら、私にはそこまでの経験なんてないです。
何か違うというよりは、これがその人だったらな…って思うことなら、あります」

「………その人だったらな…」

私の言葉を復唱するヒズリさん。

「あの……?」

「じゃあ、その子が他の男のところへ行く事がどうしても嫌で、どうにかしてしまいたいと思った事は?」

「え?…はぁ……わたs」

「俺は、どうすれば良かったんだと思う?」

私の言葉を遮り、なお意味のわからない問いをするヒズリさん。
言葉は胡乱なのに、その瞳は明らかに真剣で。

「身体だけじゃ嫌だ…」

その内容から、彼に本気で好きな人が出来たのだと…理解した。

「……ヒズリさんは、好きな方が出来たんですね?」

「……好き………」

そっと瞳を閉じた彼が、またゆっくりと瞳が開いた。
そして、ギュッと強く抱き締められる。

「好き…か……」

小さく息を吐いた彼は言葉を続けた。

「他の女じゃダメなんだ。
俺以外の男と一緒にいるのが、どうしても許せない。
こんな風に…誰かに身体を触らせるのも、この部屋に他の男を入れるのも」

ん?

呟きのような静かな声色で続ける。

「俺だけを見て欲しい…最上さん」

え?え?

「あの…『彼女』さんの事…ですよね?」

「……彼女?」

「そうですよ…!そういう事はご本人に言わないと、意味ないです」

「…ああ、『彼女』とは別れた」

「……別れた?」

全く…話の内容についていけない。
何を言っているのか?ヒズリさんの言葉の内容が一つも把握できない。


「君の気持ちも聞かずに、乱暴にこんな事をして…ゴメン……」

「君と石橋が一緒にいるところを見て…嫉妬した。
君の『関係ない』という言葉が…無性に腹が立ったんだ。
……だから………本当に、ゴメン」

シュンとするその様子は、どう見てもクオン丸とでも名付けたくなる犬のようで。

「でも…俺は…どうしても、君がいいんだ」

ギュウっと強く抱き締める腕の力は緩むことなく、彼の身体の温かさを伝える。

「………今度は、どんな『賭け』をしてるんですか?」

「『賭け』なんてしてない。今度は俺の本心だよ」

「……『賭け』のことは、私に内緒にしておかないといけないんですか?」

「………前科があるんだからしょうがないけど…どうしたら信じてもらえる?」

「ちゃんと言ってくれれば、きっちり協力しますよ?」

「……………本当?本当に協力してくれる?」

「最上さん、好きだ。
俺と付き合って下さい」

「復縁的な『賭け』なんですか?」

「…いいから、返事を聞かせてくれる?」

「はい、よろこんで…で、いいんですか?」

そう言った途端、思い切り抱き締められた。

「あ…あの、期限は…?」

「ん…相当長いから、覚悟して?最上さん」

「相当…?どのくらいですか?」

「内緒だよ」

「え?何でで…」

最後まで言う前に、唇を塞がれた。

私はその甘さに身を任せながら、私の意識が次第に霧に包まれるように霧散していった。




web拍手 by FC2

2014.01.30 Thu l Ставка l コメント (6) トラックバック (0) l top

コメント

ふふふー!!
クオン君漸くキョーコちゃんを捕まえることが出来ましたねー!!
キョーコちゃんはまだ賭けだと思ってるみたいですが、この調子でどんどん丸め込まれちゃうのかなぁ??( *´艸`)
2014.01.30 Thu l 風月. URL l 編集
クオンくんもキョコさんも
とりあえずお付き合いできそうでなによりです!

キョコさんの傷は結構深そうなので、ちゃんと信じてもらえるのか不安もありますが・・・・お別れにならないなら久遠君も安心ですね!(←説得より、丸め込みが上手くなるだけだったりして)
2014.01.30 Thu l 魔人sei. URL l 編集
いつまでも。
賭けのための おつきあい。
って キョコちゃん完璧に思っているんですね。
本気の気持ちを理解してもらえるまで頑張れるのでしょうか?
2014.01.30 Thu l 美音. URL l 編集
風月様

コメントありがとうございます♪

本日、最終話の二話をUPいたします!
この回すごく難産で、何度も書き直ししました…(泣)
とりあえず、ちゃんとハピエンになるように…なったかな?
2014.01.31 Fri l 風鳥. URL l 編集
魔人様

コメントありがとうございます♪

ウフフ、本日最終話をUPします!
丸め込む作戦っぽいですから…頑張ってもらいます。
2014.01.31 Fri l 風鳥. URL l 編集
美音様

コメントありがとうございます♪

今回とても難産で、思うような展開にならず本当に困りました。
次回で終わりますので、もう少しお付き合い下さい♪
2014.01.31 Fri l 風鳥. URL l 編集

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://kazetorinomawarimich.blog.fc2.com/tb.php/107-87ebb88e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。