上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

--.--.-- -- l スポンサー広告 l top




嫌な事というのは

だいたい立て続けに起こるもの




あの日も、そんな日だった。





私は元から母との縁が薄かった。
母は幼い私を人に預け、完璧じゃない私には見向きもしなかった。

幼馴染のショーちゃんと一緒に松乃園を飛び出した時には、もう既に何年も母に会っていない状態で。
もちろん、東京に来て芸能界に入った今も一度も連絡さえ無かった。

あの日、ケータイに一本の連絡があった。

相手はショーちゃんのお母さんである、女将さん。
「母が亡くなった」という内容だった。
いや、正確には「亡くなっていた」かな。

女将さんも今日知ったと連絡してくれたらしい。
なんでも、少し前から病気を患っていたらしく、入院していたのだとか。
病院には、自分に肉親はいない。
もしもの時は、弁護士に連絡して欲しいと。
そして…その『もしも』が起こり、私に連絡が来る訳も無く。
たった1人の肉親であり唯一無二の母親の死も知らず、みとる事も出来なかった。


私は……母にとって存在しない人間になっていたらしい。


お粗末な事に、その事実を知ったのは葬儀も何もかも全てが終わった後だったのだ。親族では無い女将さん経由で。


とうとう私は、本当に天涯孤独になったらしい。
そして、母にとって私は、本当に要らない人間なのだと思い知った。




嫌な事というは続くのが、この世知辛い世の中の理。


その連絡の後、私はショーちゃんに会いに行った。
慰めて欲しい訳じゃない。
ただ、聞いて欲しかった。
今までの内情をよく知っている人が近くにいなかったし…この孤独感で、1人になりたくなくて。


テレビ局のベンチにいたショーちゃん。
マネージャーの祥子さんと話していたあの言葉。

それはすごい衝撃だった。

私を家政婦とのたまい、地味でつまらねー女だと……。

そこらのゴミと同じ様に、いとも簡単に私という存在を捨てたのだ。


世界の全てだったショーちゃん。
母にかえりみられなくても、ショーちゃんがいれば良かった。
芸能界に入ったのもショーちゃんと一緒にいたいから。
何をするのもショーちゃんの為。


私の全てだったショーちゃんも、私は要らないと言うの?


私は何のために生きているの?


どうやってそこまで歩いて来たのかわからない。
私はウロウロと暗い道を歩いていた。
何処に向かっている訳でもなく。

そんな私に声を掛けてきたのが、敦賀さんだった。

泣いているばかりで何も言わない私に、困った敦賀さんは自分の部屋へ入れてくれて。
温かい珈琲に敦賀さんの優しさが伝わってきて、胸が潰れるかと思った。


今日だけは1人でいたくない。

どうしても、今日だけは……!


「地味で色気もねー女」
その言葉が頭の中でリフレインする。

私は敦賀さんの優しさにつけこんで、バカなお願いをした。

「抱いて下さい」と。

何度も何度もお願いをした。
どうしても、1人になりたくなかったから。
今、この一瞬だけでも…私の存在を許して欲しい。


そうしてあの日、私は敦賀さんに抱かれた。





**********




回想になりますね。
パラレルなので…本編では冴菜さんは本当はご存命だと思います。


web拍手 by FC2

2013.03.01 Fri l Redo (続開) l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://kazetorinomawarimich.blog.fc2.com/tb.php/13-1f616bc8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。