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蓮誕祭&一周年のアンケートに投票下さった魔人sei様のリクエスト『迷惑千万なバレンタイン』の最終話です。







なんて皮肉だ。

最上さんが喜ぶと思っていっぱい食べたら、どんどん離れて行き
食べられなくなったら、君がこんなにも近くにいてくれる。

君が近くにいてくれる幸せ。

それを永遠のものにしたいと願ったから、だから罰がくだされたのだろうか。
そう思わずにはいられない程の切れの良い右ストレート。

「……でも、いつまでもここにいるわけにはいきません」

その言葉に蓮は何も発することができなかった。

続けて放ったキョーコの言葉は予想を超えていて、思考が反応するまでにやはり時間がかかる。

「私がいつまでもここにいたら、敦賀さんの彼女さんに申し訳がたちませんから」

ああ…なんて酷い勘違いだ。

蓮は大きく溜め息をついた。


「俺に彼女はいない」

え?と書いてあるキョーコの顔。

「最近、敦賀さんじゃないくらい、成人男性の平均以上に食べていたらしいじゃないですか」

「…そう、だね」

「アノ敦賀さんがすごく頑張って食べていたのも、私を避けていたのも
……彼女さんの為、なんでしょう?」

それもこれも、全ては……

「君に、嫌われたくないから……」

「え?」

貴島や飛鷹、その他大勢の男がキョーコからのチョコを手ずから貰い、それを美味しそうに食べていた。
今年はどんなものをくれるのかと、いや、何もなくてもいい。ただ笑顔のキョーコに会いたいと、思っていた。
だが、キョーコは蓮の所にだけ、来なかった。

「君が喜んでくれるかと…思ったんだよ」

呆然としていつまでも動かないでいるキョーコに、蓮は更に続けた。

「もう少し自発的に食べてくれると嬉しいと、言っただろう?
だから……」

以前はバレンタインなんて、正直面倒だと思っていた。
毎年贈られる山のようなソレと、一ヶ月後のホワイトデーという名のお返し。
何故このようなシステムが日本には根強く培われているのだと。
しかし、それも毎年やってくる仕事なのだと、にこやかに対応して来た。

「私が…言ったから……?」

「そうだよ」

ワインゼリー。
それが、キョーコから初めて贈られたバレンタインだった。
憂鬱だと感じていたバレンタインが素晴らしい日だと知ったのは、この日だ。

そして今年、その素晴らしいはずの日が苦悩の日となった。

「俺は、君に何かしてしまった?」

貰えなかったバレンタイン。

「へ?何の話…ですか?」

貴島だって、飛鷹だって、スタッフでさえ貰っているのに何故自分には無いのか。
そんな傲慢な考えに、蓮は自分がなんて狭量なのだと落胆した。

「俺だけ…バレンタイン、貰えなかった」

こんな情けない自分を、キョーコにだけは知られたくなかった。

「………はあ?」

「君からのバレンタイン、欲しかった…」

芸能界一~とかなんとか言われったって、中身は結局ただの男だ。

「だって……敦賀さんが欲しいチョコはたった1つじゃないですか」

「え?」

「欲しいのはあの子からのチョコだけだと。バレンタイン攻撃のせいで想う方に会えなくなるから…。
その他大勢に憎しみを抱いてしまいそうだと、言ってたじゃないでか!」

「最上さん、それ…どこで?」

「すみません、TV局の廊下で。社さんとの会話、聞いちゃいました」

「ああ、あの時の……」

あんな場所でその話題は、まずかったな…。

「それで……私なんかが敦賀さんの大切な時間を割いてしまっては、と思いまして」

…………は?

「私一人がこんな事しても無意味かとは思ったんですが…」

だから…自分にだけバレンタインのチョコが無かった…のか。

「………な…んだ」

蓮は右手で額を抑え、大きく吐いた息と共に安堵の笑みが零れる。

「そっか……なーんだ」

嫌われたわけではなかったんだ。

後から後から溢れる笑いが止められない。
ひとしきり声を殺しながら笑った。

そして、ポカンと傍観しているキョーコに近付き、蓮は優しく抱き締めた。

「つ…敦賀さん…?」

小さな抵抗を感じたが、その抵抗ごと蓮はギュッと腕の中の存在を包み込む。

「俺、今年好きな子からバレンタインのチョコ、貰えなかったんだ」

「え?」

「だから…その子に嫌われたのかと思って。
そんな現実をその子から聞きたくないって逃げたんだ。
でも、コレ以上は嫌われたくなかったから、喜んでもらえるならなんでもしようと思った。
結果、入退院して好きな子に世話になるような、こんなざまだ」

こんだけ言っても当の想い人は理解も把握をできていないようで、かんばしい反応が全くない。
そんな彼女に蓮は屈み、目線を合わせて微笑んだ。



「だから…君からのバレンタイン、いま頂戴?」



チョコのように甘いその唇を、蓮はたっぷり時間をかけて味わった。






なんともはた迷惑で、迷惑千万なバレンタイン。

今回のそれで一番被害を被(こうむ)ったのはもちろん社で。

蓮の不調と共に、スケジュール管理という毒に社の胃も相当やられてしまったとか。

そしてこの『迷惑千万なバレンタイン』が終わったその日、とうとう今度は社の胃が限界を迎え……

入退院の後、キョーコの特性スープに、社は涙を流した…らしい。





バレンタインを遥かに過ぎ、果てはメンズバレンタイン(9/14)も過ぎてしまいましたが…(汗)
とりあえず完結です。
魔人様、素敵な罠文をありがとうございます!迷惑千万をテーマとさせての妄想、すっごく楽しかったです。
この度は『蓮誕祭&一周年のアンケート』に投票・リクエスト下さり、本当にありがとうございました。
またよろしくお願い致します<(_ _)>




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2014.09.25 Thu l 迷惑千万なバレンタイン l コメント (4) トラックバック (0) l top

コメント

祝・完結!
蓮さんもキョコさんも、互いに誤解しあっていましたが、思ってたことを口に出せたあとはあっという間に恋愛成就できましたね!

あと1歩、あと一言。

そんなこんなで長年過ごした二人の両片思いフィナーレを迎え、迷惑千万な被害を受けたヤッシーもホッとしたことでしょう。

完結までの書き上げお疲れ様でした!

そして、楽しいお話を有難うございました!!✧˖˚⁺\( ̄▽ ̄)/⁺˚˖✧

またのウッカリドボンをお待ちしてまーす。(○゚ε^○)v
2014.09.25 Thu l まじーん. URL l 編集
最後のお話で
最終的に一番被害を被ったのは、ヤッシーだったのですね。
ヤッシーに「お疲れ様」って労ってあげたいな。

とっても楽しかったです。完話おめでとうございます。
2014.09.25 Thu l 美音. URL l 編集
まじーん様
もう…ウソだろ?ってくらい季節感がズレてしまいすみませんでしたー(泣)

本当、あっという間…に……?
あれ?今気付きましたが、蓮さん勝手にちうしてキョーコさん置いてけぼりです…かね?

まあ、何だかんだで蓮さんになし崩されちゃうんでしょうか(*´ω`*)

魔人様の罠は甘い香りで、こう…本当惹かれます♪
またお邪魔したらすみません(笑)

この度はリク、ありがとうございました!!
2014.09.26 Fri l 風鳥. URL l 編集
美音様
コメントありがとうございます♪

今回は『迷惑千万なバレンタイン』=社にとって
をテーマに考えていたのに…ほほ出番が無しという…。

最後までお付き合い、ありがとうございました♪
2014.09.26 Fri l 風鳥. URL l 編集

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