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蓮誕祭&一周年アンケ最後のリクエストで、蓮さんが年下という設定です。
パラレル苦手な方は回れ右でお願い致します。










ジュリエナ・ヒズリの、愛人……?

私はおもわず吹き出した。

ありえない…何を言い出すかと思えば。

腹を抱えてひとしきり笑った後、私は涙を拭きながら言った。

「そんなバカみたいな事あるわけないじゃない。ヒズリ夫妻を知らないの?
…愛人なんて、絶対ないわ」

漏れる嘲笑を必死で堪える。

「………まあね」

そう漏らした彼の言葉となんとなく掴みづらい表情に……私は笑うのを躊躇った。

「う…嘘でしょう?」

怪訝(けげん)な顔をした私に気付き、彼は微笑を作って言った。

「さあ…どうだろうね?」

私はそれを見て息を呑んだ。

精悍だと思っていた顔立ちは、小さく微笑んだだけでなんとも甘いマスクへと変貌した。
艷やかな黒髪は日を浴びてほんの少し茶色を映し、物憂げな瞳が目に焼き付く。

よく見れば、そこにいるのは美貌の男だった。

「……だって、愛人だなんて…無いでしょ?」

動揺した私の言葉に、彼が答えることはなかった。
返されるのは変わらない微笑ばかり。


「………今なら、あっちはいい時間かな…?」

彼は何かを呟いたと思ったら、おもむろにケータイを取り出し何処かにかけ始めた。
そして私に向かってニヤリと嗤い、何を押したのかケータイから私にも聞こえるような呼び出し音が鳴った。

『マイハニー!!』

呼び出し音が途切れたと同時に聞こえた声は艶やかな女性のモノ。

『電話待ってたのよー!』

……まさか、ジュリエナ・ヒズリ?

『うん…さっき無事に着いたよ。心配いらない』

目の前の男が急にネイティヴな英語を口から発した。

え…嘘……。本当なの…?
あのジュリエナ・ヒズリの?

男の手に持つ機会越しで会話を続ける彼等。
私はその内容に驚愕した。
『いつまでそっちにいる予定なの?寂しくて私の寿命が3時間よ』とか『会いたくて仕方がない』とか。
そんな言葉に『うん』と軽く返事をしている。
そして、まだまだ続きそうな相手の声を遮り、『また電話するよ』と一方的に切った。


妻と息子を溺愛し過ぎていると心配になるような夫。
家族を心から愛し、その時間を何よりも大切にしている妻。
金髪碧眼の天使のように可愛い息子。

その理想とも言うべき家族像が、ガラガラと音を立てて崩れた瞬間だった。


男は私を見ながら嗤っている。「ほらね?」とか「わかった?」とか言われているようで、無性に腹がたつ。

「あなた、どういうつもり?!」

「はあ?」

「ジュリエナさんには家庭があるのよ!知ってるでしょ?!」

「……まあ…」

「だいたい、あなた恥ずかしくないの?
いくつだか知らないけど、まだ若いでしょ?!だったらそこら辺の若い子捕まえればいいじゃない。
何でわざわざ人妻なの?」

一気にまくし立てる。

ポカンとした顔で私を見る彼に、一つの疑問をぶつけた。

「………やっぱり、お金?」

暫らく無言が続いた。

が、真剣な私を横に、男はいきなり吹き出した。
肩を震わせ、堪えきれず大きな声で。
仕舞いには腹を抱えて芝生に転び、拳を芝生に叩いている。

「………………………」

何でこんなに大笑いされているの?私。

ひとしきり笑って、ようやく落ち着いてきたところを見計らって、私は男に声を掛けた。

「何か、面白いことがありまして?」

「…いや、うん…なかなか面白かったよ」

まだクスクスと笑っている。

「左様でございますか…」

何なんだろう、この男は。

私は溜め息をついた。

「あ!こんな所で油売ってる暇は無いんだった」

そうだ、早く帰らないと女将さんに怒られてしまう。
私はクルリと踵を返し、駆け出した。

唐突に走り出した私に、愛人男は慌てて声を上げた。

「俺のこと、周りには内緒にしておいて」

「当たり前でしょ?!誰にも言えないわよ!」

足は止めずに、彼に向かって叫んだ。



その日の夜、私は部屋の窓から微かに見える電気の点いたお隣さんを見ていた。

自分の部屋に戻る時に持って来た、冷えたペットボトルをゴクリと一口飲んで息をつく。
暑い昼間に反して、まだ6月は夜も過ごしやすい。


……愛人、か。

だいたい、いくつ位の人だろう。23歳の私と変わらないように見える。
年上?でも、笑うと無邪気な感じで年下に見えなくもない。

まあ、どっちにしてもジュリエナさんよりはだいぶ年下よね。

確かにあの男、見目はすこぶる良かった。

やっぱり、お金目的のヒモ…かな~。

だけど…

「ジュリエナ・ヒズリの愛人なんて、絶対ない」と笑った私に見せた、あの男の表情を思い出した。
「………まあね」と漏らした彼は、なんとも掴みづらい表情だった。

もしかして、本気……なのかな。

愛人なんかしていて良い事なんてあるのだろうか。
ハイリスクノーリターン以外のなにものでもないのに…。

それでも…と思う程、ジュリエナさんを好き、とか?


私は仄かに光るお隣さんの窓を見ながら、好きになってはいけない人に落ちてしまった不憫な男を思った。




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2014.12.05 Fri l 年下 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

実際に愛人かはともかく。
彼という男が、ジュリさんを想ってる・・・・様だと認識したキョコさん。

この認識があとでどういう結果を招くのかとか、いろいろ楽しみですー!

何気に優しそうなキョコ姉さん。大型わんこに懐かれそうですね。Ψ( ̄∇ ̄)Ψ
2014.12.05 Fri l まじーん. URL l 編集
まじーん様
コメントありがとうございます♪

さすが魔人さま…これからの展開が読まれてしまっていますね!
お手柔らかにお願いしますよ~♪

まだもうちょっとのんびりなお話が続く予定です。お付き合い下さい♪
2014.12.08 Mon l 風鳥. URL l 編集

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