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ジュリエナさんの愛人だという目の前の男に、勢いで随分質問してしまった。
かなりはぐらかされたけど…まあ、当然なのだろう。
彼は著名人の『愛人』なのだから。
その存在自体を秘密にしなければいけない彼。
だから、私にむやみに素性は話せないのだと…わかった。

やっぱり、不倫など良く無いと進言したい。
きっと…のちに彼は深く傷つく。

そう思い目の前の彼を見据えた私の視線に飛び込んできたのは、
今日会いたいと思っていた、幼馴染みだった。

「ショーちゃん…?」

何でこんな所に?という疑問と同時に湧き上がった焦り。
どうしよう…男と二人で食事に来てるなんて、ショーちゃんに知られたら……。
それこそ弁解の余地もない。

そんな私の考えをあざ笑うかのような現実が、幼馴染みの隣りから現れた。

「……………うそ…」

ウェーブのかかった長い髪が揺れ、微笑む大人美人。
メリハリのある身体から妖艶な雰囲気を醸していて、明らかにショーちゃん好みの女性。

「な…なんで……?」

そして、その二人の間で笑っている女の子。
小さい時のショーちゃんに…良く似ている……。

子供を真ん中に仲良く手を繋いでいる、家族。


どういう事…?


店員に案内され、こちらへと近付いて来た幼馴染みが、私に気付き囁いた。

「キョーコ…」

私は目の前で起こっている事態がどうしても理解できなくて、ただその場に電柱のように突っ立っている。

「……パパ?」

立ち止まったショーちゃんの脇から、小さな女の子が声を掛ける。

「はやく~、ハンバーグたべよ~」

『パパ』と声を掛けた男の手を揺さぶりながら見上げている女の子。

待って……
何が起こっているの?

「………ああ、先に席に座って頼んでろ」

幼馴染みはその子の頭に手を置いて微笑んだ。
そして、女の子に向けていた視線を私に移した時、私の肩がビクリと跳ねた。

幸せそうな家庭の中にいるのは、私の王子様であるショーちゃんだ。

『パパ』ってなに?

『パパ』がいるなら、『ママ』もいるんだよね?
…あの人が『ママ』?
『ママ』ってことは……『奥さん』?

来年には結婚だって……
私は…?私は……


これじゃ、私が……浮気相手。


「………………」

色んな感情が膨れ上がって震えだした身体を、私は自ら自分の腕で抱き締める。

嫌だ…嫌だ…!

私は一歩一歩ゆっくり後退して、あとは夢中で走った。
後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
幼馴染みじゃない男の声。

敢えてそれを振り切り、もつれる足を動かしながら力の限り走った。


「――待って…!」

追い掛けて来た男に腕を掴まれた。
街頭はゆらゆらと光り、見慣れた道の向こうに小さく某有名人の別荘と『松乃園』が見える。

「君、意外と足早いね」

私はハアハアと肩で息をしながら、片方の手を膝に置く。

「あれが君の王子様だろ?」

「…………」

「いずれわかる事だし、今わかってよかったじゃん」

「…良かった?」

「そうだろ?来年結婚なんて「知りたくなかった!」

最後まで聞きたくなくて、私は叫ぶように言葉を被せた。

「私は知らないままでいたかった!」

「は?何それ…」

「知りたくなんて…なかったのに……」

「それで、ずっと騙され続けた方が良かったって言うの?」

「そうよ!そうすれば…」

「あれじゃどう考えても結婚は無理だろ。いつかわかる事が、今日起こっただけだよ」

「……じゃあ、私はどこに行けばいいの…?」

ぼそっと言った言葉の後で、私は勢いよく振り向いた。
それに一瞬ひるんだ彼の腕を振り払う。

「あんたのせいよ!」

「はあ?」

「あんたが映画に付き合えなんて言うからっ…」

「……………」

「知らない方が幸せって事、あるでしょ?!」

「その幸せは偽りだろ?
だいたい、君が俺に言ったんだろ?家庭があるの知ってるのに恥ずかしくないのかって。
知らなければ君の中で何でもいいわけ?」

「…………」

「別に男はアイツだけじゃないんだし、今はショックかもしれないけど「私には…」

一つ息を吸って続ける。

「私には、王子様はショーちゃんだけなの!」

「……まさか、それでもまだこのまま続けたいとか思ってるわけ?」

「………………」

「……あっそう。
悪かったよ、今日強引に映画なんか誘っちゃって」

吐き捨てるように呟かれた言葉と傘を残して、彼はその場から去って行ってしまった。
私は下に広げられたまま残された傘を拾う。
ポツポツと傘が鳴る。

ああ、そうだった。雨、振ってたんだっけ…。

無我夢中で走ってきたからずぶ濡れだ。
歩き出したいのに足が重くて持ち上がらない。


………なんてこと言っちゃったんだろう。
彼は落ち込む私の為に、強引に連れ出してくれたのに。
私を追い掛けて来てくれたのに。
間違ったことなど、何一つ言ってなにのに―――

「…っ!?」

持っていたバッグから微かな振動を感じた。

着信。もしかして…

私は震える手でケータイを取り出して液晶を確認した。




前回ぶった切った後半部分を、せっかく切ったから~とキョコさんターンに急遽したのですが…
あれこれ入れたら長くなってしまいました(T_T)
予定では蓮さんの歳発覚までいきたかったのに…



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2015.01.20 Tue l 年下 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

アララ
ショックのあまり現実拒否のキョコさん。あとで大後悔しそうなブレブレ発言に、まだ捨てられないショータローへの期待。ソレが傷を深くする原因にならなきゃいいのですが。v-11
2015.01.21 Wed l 魔人sei. URL l 編集
魔人sei 様
コメントありがとうございます♪

これによって二人の距離が縮む…予定です(*^_^*)
なかなかゆっくり進行ですが、お付き合い下さい♪
2015.01.21 Wed l 風鳥. URL l 編集

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