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六限目の後に四限目でスミマセン(-_-;)





【同級生 ~四限目~前編】




「おはよう」

同じマス目の一つから迷いなく自分の上靴を出し、手に持った靴をその場所へと押し込んでいた時、後ろから春の日差しのように穏やかな声がした。
振り返ると、朝だとういうのにキラキラと眩しい程の笑顔が視界を捕らえる。

「あ…お、おはよう」

上擦り気味に返事を返す。
そして、昨日下校時の出来事を思い出し、カァッと頬に熱が集まるのがわかった。

頭の中で昨日の敦賀くんとのやり取りがグルグルと駆け巡る中、当の相手はそんな私を一笑し、向かい合う下駄箱で上靴へと履き替えている。
その何とも言えない彼の冷静さに腹が立った。

「一緒に教室まで行こう」

彼の右手が私の左手を握る。
私は昨日の放課後の騒ぎと、生まれて初めてのいわゆる恋人繋ぎと言われるあのシーンをまた思い出す。
その温もりにすかさずその手を振り払い、見開く彼をひと睨みした後、教室へと一人駆け出した。

敦賀くんの中ではなんでもない行為だとしても、私には違うのだ。



「あ の 敦賀くんと、付き合い始めたの?」

昨日の騒ぎで私が入った教室内は、一晩経った今朝もざわめいていた。
その中で、誰しもが聞きたかったであろう言葉を投げかけたのは琴南奏江だ。

「―――モー子さぁ~ん!」

親友の顔を見た瞬間、両手を広げて跳びつこうとしたが……彼女の掌に阻まれ、敢え無く撃沈。


昼休み、「ちゃんと説明しなさいよ!」と迫る彼女に引き摺られ、人気のない中庭の端にあるベンチでお弁当を広げた。

「ふーん…?つまり――」

彼女は一口大の玉子サンド口に放り込む。

「何かのゲーム?」

「そう!罰ゲーム」

「あの完全無欠な王子様の敦賀くんが、そんな事する?」

「実際するから、こんな事になってるんだよ」

「でも…今まで浮名らしい浮名も無く、いくら告られても完全シャットダウンだった敦賀くんが、こんな遊び…する?
確かにキョーコは弄(いじ)りやすいけど、マジメで温厚と評判な彼が今まで女子にそんな事したことあった?」

「…………」

まあ…無いですね。

テストの一週間前、あの日の私の失言と彼の提案が始まりだった。
なぜ、こんな事になったのか、私も知りたいくらいだ。



HRが終わるとともに、私はダッシュで教室を飛び出した。
きっと、敦賀くんがまた迎えに来る。

昨日の放課後の騒ぎで、今日は針のむしろだ。
特に女の子の視線が痛い痛い。同学年どころか、上級生のお姉さま方もわざわざ教室まで来て、私を指さしていた。

オソロシイ。

いつまでも彼のゲームには付き合えない。
その為に、早く学校から脱出してしまおう。

「―――うそっ」

逸る気持ちに水をさしたのは、空から零れる大粒の雨雫だった。
知らぬ間に潤ったアスファルトを見て、短く息が漏れる。

「今日、雨の予報は無かったのに……」

空を見上げれば雲の切れ間もある。
もう少し待てば止むのか。それともこのまま濡れるのを覚悟して走るか。

そんな思案をしている時だった。

「傘、入って?」

聞きたくなかった声。
こっそり溜め息は吐きながら振り向いた。

「結構です」

彼は手に折り畳み傘を持ち、校内の女の子を悩殺するスマイルで


「………じゃあ、人気がなくなるまで一緒に図書室でも行こうか」

――つまり、昨日のような騒ぎにならないようにしよう、ってこと?

「それなら、一緒に帰ってくれる?」

そんな気遣いができるなら、昨日それが欲しかった。

「モー子さんの部活が終わるの待ってるから、敦賀くんは帰って平気だよ」

同じ傘に入るなんて…まるで、それって…なんだか、あ………


「……じゃあ、帰るよ」

あれ?
やけにあっさり引いた?

その刹那、彼は私に折りたたみ傘を押し付けて、早足でドアの向こうへ出た。

「え?!待って!」

私の声に動きを止める敦賀くん。
黒髪に少しづつ水が染みていく。

「なに?どうこと?」

何でこんな事を?
意味がわからない。
訳もわからない。

「貸しとくよ」

「え?」

「キョーコ、どうせ濡れて帰るだろう?」

確かに私はその気でいた。

「キョーコが濡れることない」

それに…と、彼は爽やかな笑顔で続ける。

「それ、貸しとけば…明日君から話し掛けてくれるかもしれないしね」


敦賀くんが走り去っていく。
降りしきる雨の中、鞄で頭をかばいながら、地面の水を高く跳ね上げて。

その後ろ姿を、私は見えなくなるまで見送っていた。


敦賀くんが全くわからない。
罰ゲームではないの?


走り去る前の彼の表情が、頭に焼き付いて離れなかった。




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2015.06.17 Wed l 同級生 l コメント (4) トラックバック (0) l top

コメント

キョコさんの頭の中は疑問だらけですねー。
キョコさんは、基本的に「自分が好かれる理由」がないと思ってそうですしね。

罰ゲーム(?)の理由に辿りつくまでの道は遠そうですが。

でも6限目で「ぐっと」距離が縮みましたから、今この4限目のまだ遠いと言える二人の距離は思いの外、短い間のものとなったのですね。

Ψ( ̄∇ ̄)Ψ

このあとも楽しみです。
2015.06.17 Wed l まじーん. URL l 編集
まじーん様
いつもコメントありがとうございます♪

そうなんです。まだまだキョコさんの中ではこれが罰ゲームなのでね…。
なかなか思うように進んでくれない二人に、私が狼狽えております(汗)
2015.06.18 Thu l 風鳥. URL l 編集
好きです〜♪
風鳥さんご無沙汰しております!!
ブランク中はお話読みに伺えてなかったので、纏め読みさせて頂きましたー!!
そしてやっぱり思います!!
風月は風鳥さんの学園モノ特に大好きです♡
キュンキュンしまくりです。
他のお話も好きですけど、凄く満喫できました〜♪
これからものんびりお茶をすすりながらお待ちしてます〜( *´艸`)
2015.11.30 Mon l 風月. URL l 編集
風月様
こちらこそご無沙汰しております~!
そして、コメントありがとうございます♪

私の方が今度は少し離れておりまして…全くどちらも訪問できていない状態です(泣)
でも、風月様のご帰還、本当に嬉しいです!
私も続きや新しい妄想話を考えながら、早くお話をUPしたいと思っておりますよ~(*^_^*)

ああ~ありがたいお言葉にヤル気を頂きました♪ありがとうございます(^_^)/
2015.12.24 Thu l 風鳥. URL l 編集

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