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小話として本館の鍵付きでUPしようと思っていたものです。
時系列的には、一限目直前といったところです。






【同級生 ~登校~】




小さい頃から、大抵のことは上手く立ち回れた。
少しの努力で成績は常に良かったし、早いうちから処世術を身につけることができた。

が、そんな毎日に特に面白い事などない。

女の子との交遊も、中学を卒業する頃には既に飽き飽きしていて。
俺の人生はこういう色も味もない、つまらないものの延長線上にあるのだろうと思っていた。

彼女に会うまでは。

最上さんに初めて会ったのは、高校入ってすぐのオリエンテーション合宿の時だった。
山の中の湖畔で、朝早くに目が覚めた俺は近くの森にこっそり散歩に出た。
ずんずん歩いて行くと、前に先客がいた。

その子はニコニコしながら、まるで風そよぐ木々に話し掛けるように自然を愛でていた。

そこにあるのはどこにでもあるただの木や葉で、彼女が目を細めて見上げた空はどこで見ても同じ空だ。
横に流れる小川の水を彼女がやったようにすくってみたが、何の変哲もないただの水で。
俺は最初、彼女が何をしているのは疑問だった。

もしかしたらこのなんでもない世界が、彼女の瞳には違うように映っているのかもしれない。

その日から、事あるごとに彼女に視線が行くようになった。

すれ違う廊下で、月曜の気怠い朝礼で、授業中の窓から見える体育着、弁当を持ちながら屋上へ登っていく姿、放課後の図書室。

彼女はいつでも一生懸命だった。
委員会も、先生の面倒な頼まれ事も。


でも、特に頑張っていたのは……勉強。


彼女は休み時間、放課後、どんな時もマジメに勉強をしていた。
その姿は鬼気迫るものがある。特に、試験前などは。





いつか名前だけではなく、君の隣りに並びたい。
そう思っていた。


ある放課後。
クラスメートの社が「最上さん、好きな男がいるみたいだぞ」と言ってきた。
俺は驚いた。
一年以上彼女を見て来たが、それらしい男などいなかったはずだ。
だからこそ『いつか』と思っていたのだ。

「ダレ?」

「ん~なんでも、違う学校に通う幼馴染みだとか」

「他校の幼馴染み……」

「もうずっと、彼女片思いしてるらしい」

片思い……。
彼女が…?

「最上さん、そいつの家にお世話になってるみたいだよ?」

「――同居?!」


マズイ……これは悠長にしてられない。


自分を想っている女の子と部屋で二人きり(←)で

……健全な男子高校生なら、


―――ヤルだろ。


その足で、俺は隣りの彼女がいるだろう教室に向かった。

どうすれば、ただの同級生だと思われている彼女を捕まえる事ができるだろう。
そんな事をを思いながら……。




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2015.08.06 Thu l 同級生 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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