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いつか言われるとわかっていた。
とうとう告げられてしまった。
絶対に聞きたくなかった言葉を。

俺と別れたら最上さんは、アイツとまた……

そこまで考えて、その後に浮かんだ言葉を否定する様にかぶりを振った。
考えたくもない。想像もしたくない。

乱れた身なりを少し整え、彼女が消えたドアの方を見る。


アイツへの想いを感じ取ってから、いつかこの日が来るとわかっていた。
その日に恐怖さえ感じていた。
最上さんに去られたら、俺はどうなってしまうのだろう…と。
絶望と闇にまた囚われてしまうのかもしれないとまで思っていたが、現実は違った。

たとえ彼女が誰を想っていても、この想いは消えない。

彼女は生きている。

何も出来ない訳じゃないんだ。
ただ、ふりだしに戻っただけ。

そう考えていたら、たった今別れの言葉を言われたばかりなのに早く彼女に会いたくて会いたくて堪らなくなった。



**********



翌日
仕事の合間の手に持つケータイには、最上さんの番号が表示してある。
そこに通話ボタンを押す。

昨日の今日で、彼女は俺からの電話に出てくれない事の方が確率的に高いかと思っていたが、数回のコールの後に可愛らしい声が聞こえた。

「もしもし、最上です」

若干声が上ずっている様子も可愛いと思うのだから、俺は末期なんだろうと思う。

「やあ…こんにちは、最上さん。
今日は何時頃上がれる予定?
俺、今日は少しだけ早そうなんだ」

「…こん…にちは、敦賀さん。
あの……私何かお部屋に忘れ物でもしましたか?」

「いや、特に昨日は忘れ物は無かったようだよ?」

一つ息が漏れた音が聞こえた。

「やっぱり、話し合いとかが…必要なんですか?」

「……話し合いというより、最上さんに会いたいだけだよ」

「?!
な!何を仰ってるんですか!」

「ああ、ごめんね。もう時間なんだ。
今日終わったら迎えに行くよ。何時頃終わる?」

「え?21時過ぎには終わる予定ですが…」

「わかった。俺は22時には終わるから、待っててくれる?」

「あ…いえ…あの!」

「じゃ、またね」

通話終了ボタンをいつもより早めに押す。
別れたがっている彼女には申し訳ないが、嬉しくて堪らない。

気をきかしてこの場を離れている、社さんがいないガランとした楽屋で顔が俄かに緩む。

そして今日出来るだけ早く終わらせるべく、残りの仕事を精力的にこなした。



時間は21時半を過ぎたところだ。

俺はラブミー部で待っているだろう彼女を迎えに来た。
ドアを軽くノックし、ドアノブに手をかけようとした時、中からの声に動きを止めた。

「だから!プッチンプリンなんて翔子さんに頼めばいいでしょ?
そんなくっだらない事でわざわざ電話してこないでよ!」

この会話の感じは…
どうやらアイツからの電話らしい。
急に胃の辺りが痛む感覚に顔をしかめる。
でも…彼女はアイツに対して、以前と変わりないような対応だ。
その事に少しだけ胸の痛みが緩和され、動かなかった手に力を入れドアをゆっくり開けた。

電話に夢中で気付かない最上さんの後ろからスッとケータイを抜き取り、耳につける。
相手は何か喋っている様だったが、構わずそれを遮った。

「やあ、不破くん。
悪いけど、彼女と過ごす時間が減るから、たいした用じゃないなら切るよ?」

そう言い終わると同時に切り、ケータイを彼女に返した。

声も無く、驚愕といった顔の最上さんを運ぶ様に地下の駐車場に行き、流れる様に自分の部屋に連れて行った。



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2013.04.10 Wed l Wish l コメント (0) トラックバック (0) l top

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