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『Ставка』最終話になります。







基本的に社内ではどちらかが足を運ばないと、お互い会う事はほぼない。

彼女に会いたいのだから、足を運べばいいのだと思う。
だが、どの面下げて彼女に会えば良いのだろう。
会ってなんて言えば良いのだろう。

そう考えているうちに一日一日が過ぎていくのだ。



いつから知っていたのだろうか……。

もしかしたら

最上さんはもっと早く俺と別れたかったのかもしれない。

今までの『彼女達』と同じように。

だが、最上さんは優しい子だから…
俺に賭けで勝たせてやろうと、我慢していたのかもしれない。

そう思ったら、胸の奥が何かに握られたように痛んだ。

このまま彼女を解放してあげた方がいいのかもしれない。
彼女はそれを望んでいるのだろうと思う。


………それでも


俺は彼女に会いたい。

彼女に触れたい。

ずっと一緒にいたいと思ってしまうんだ……!


不意に柔らかい声で呼び止められる。
そちらを見れば、明るいウェーブのかかった顎ラインまでの茶色の髪を耳にかける仕草をしながら微笑む女の子。

……ああ。

「好きです。付き合って下さい」

お決まりの告白。
上目遣いの自信ありげな瞳が俺を映し、目の前の女の子は微笑んでいる。

俺にとってこれは日常の一コマ。
来る者拒まず去る者追わず。
今までの俺なら、彼女のいないこの状態でのこの告白に「いいよ」と彼女にニコリと微笑んで見せただろう。

だが……

「悪いけど、付き合えない」

付き合いたいとは思えない。
手を繋ぎたいとも思えない。
彼女以外との食事なんてただの苦行だ。
他の子と快楽をなんて…考えたくもない。

俺は目の前の女の子が言葉を発する前に身体を翻し、歩き出した。





赤や緑の色が騒めく街並み。
そこかしこから聞こえてくる音楽は全て決まったメロディだ。

………そういえば、一人のXmasは久々だ。
いつもは雰囲気のあるレストランと景色の良いホテルを予約して、『彼女』の望むXmasを演出していた。


部屋にじっとしているのが辛くて、俺は外に出た。

今日の12月24日は、最上さんとイルミネーションを見に行くはずだった。
きっと、その前にディナーを…となっていただろうな。
そしてその後、手を握って、笑いながら、綺麗に装飾されたイルミネーションに心奪われている最上さんに……。


彼女の事を考えると胸がズキズキと痛む。
その胸を押さえ、彷徨う足。

暫らくして止まった場所は、最上さんと来るはずだった◯◯ガーデンだった。

まだ明るい其処は、人もまばらで。
俺はゆっくりと足を踏み入れた。

広い面積に西洋の見事な庭園が広がっている。
季節が季節だけに花は少ないが、その代わりに夜になると煌々と輝くイルミネーションが咲き誇る。

俺は少し歩いた先にあったベンチに腰掛けた。


離れて行った『彼女』にこんな気持ちになったのは初めてだ。
「別れたくない」なんて思ったのも、初めてだ。

知らない子が告白してきても、彼女がいなければ拒んだことなどない。
だから、賭けのゲームでアイツ等が勝手に決めた子でも同じだと…安易に考えていた。

最上さんは賭けの事を知って、どう思っただろうか。


…こんなはずじゃなかった。


どの位そうしていたのか、辺りは少しづつ暗くなり始める。
数えられる程度だった人が、パラパラと増えてきた。
そして、一斉に無数の小さな光りが輝いた。

……綺麗だな…。

俺はベンチに深く座ったまま、白い息を大きく吐いた。

そういえば、ここはイルミネーションの聖地。恋人達のメッカだ。
見渡せば周りには、カップル達が冬の蛍の如く輝く光を楽しんでいた。

そんな恋人達を何も考えずに見ていた時、不意に俺の呼吸が止まった。


「―――最上さんっ…!」


俺はすかさず、目の前を通り過ぎようとした女の子の腕を掴んだ。

「なっ…ヒズリさん…?!」

こちらを向いたのは紛れもなく最上さんだった。

「……もしかしてヒズリさん、デートですか?」

ニコリとした彼女が投げかけた言葉に胸が痛くなる。

「いや…。最上さんこそ、誰かと一緒?」

こんな所に一人で来るのは、君と来たかった俺くらいのものだろう。
俺は彼女の周りを見る。
新しい彼氏…が?

「あの…いえ……そういうわけでは…」

ぼそぼそと返す言葉と同時に俯く。


「「………………」」


暫しの無言。
そして、最上さんは微笑んだ。

「…じゃ、私はこれで…」

掴んだ腕をするりと解き、軽く会釈をした。

俺は今度は彼女の手を掴む。

「待って!」

温かい彼女の手。
俺が焦がれた柔らかくて小さい最上さんの手だ。

「ごめん。賭けのことも…全てのことに、ごめん」

彼女の顔が曇る。

「…でも、俺は君と一緒にいたい……」

「…………え?」

「俺は……君が好きだよ」

ああ、二度目の告白だというのに…やっぱりありきたりで何とも味気ない。

「何を言っても信じて貰えないと思うけど、俺は最上さんとずっと一緒にいたい」

そして、やっぱり出て来る言葉は、あの日、彼女に別れを告げられた時に頭を占拠していた言葉だ。
だが、俺の本当の気持ちだから…変えようがない。

「君が俺のこと好きじゃなくても……」

俺は無言の彼女の手を握ったまま、しっかりと目を見て言った。


「最上キョーコさん、好きです。
俺と付き合って下さい」


シャンシャンとXmasソングが流れ、周りには星屑のようなイルミネーションが輝いている。

でも……俺にとっては目の前の最上さんが一番綺麗で、何よりも心揺るがす。


「………本当ですか?」

彼女の頬に一筋の涙が走った。

「また、賭けじゃ…ないですか?」

もう片方の手で彼女の涙を親指で掬う。
そして、彼女の身体を抱き締めた。

「賭けなんかじゃない。嘘でもない。
君が好き過ぎて、狂いそうだ…」

より強く抱き締める。

弱弱しく彼女は俺の背中に腕を回し、最初の告白の時と同じように小さな小さな声で答えた。


「私も…ヒズリさんが、好きです」







**********







『Ставка』最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました!
『Ставка』はロシア語で『賭け』です。
本当は一話目をUPする直前まで『BET』だったんですけど…。
それではすぐ『賭け』だと分かってしまうではないか…!と思いまして。
で、彼が英語の他に母の母国語であるロシア語を話していたので、ロシア語にしてしまいました。

今回、せっかくXmasに絡めたのにキョーコさん誕生日は絡めなかった…不覚です。
キョコ誕祭、できるかな~。



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2013.12.19 Thu l Ставка l コメント (14) トラックバック (0) l top

コメント

良かった!!!
ハピエンで良かったです!!!
約束していたイルミネーション、やっぱり1人より2人で見る方が嬉しいですよね☆

ドキドキして楽しかったです!
2013.12.19 Thu l ぽこにゃん. URL l 編集
どきどき
素敵なハピエン、良かったです。
途中切なくってキュンキュンしていましたので、ほわわと安心。
イルミネーションの似合う二人。

まだ、24日のようですし、、キョコ誕祭をみたいです、、、なんて、図々しいコメント不可ですか。
2013.12.19 Thu l moka. URL l 編集
うはぁ!!
大満足っ!!
約束してた場所に二人とも何と無く足が向いてしまってたんですね!!そういう出会いも素敵です〜!!
納得のラストで感無量ですっ!!

番外編でキョコ誕なんてどうでしょう??
2013.12.19 Thu l 風月. URL l 編集
fufufufufu!
「・・・・キョコ誕祭り開催スタート(ボソッ)」

と、最初に宣伝!!

デートする予定だった場所を訪れた二人。
これぞ運命の再会ですね!

続きも楽しみにしてます!
2013.12.19 Thu l 魔人sei. URL l 編集
も、もうちょっと!
もうちょっと先まで読んでいたいです~~!!
もし万が一にも気が向きましたらよろしくお願いします○┓ペコッ
2013.12.19 Thu l ねここ. URL l 編集
最後どうなるんだろうとドキドキでした
この後もどうなるんだろう。
すごく気になります。
会社での二人とか、プライベートな時間での二人とか、すごく気になって仕方がありません。

とにかく二人がくっついてよかったです。
2013.12.19 Thu l 月華. URL l 編集
ホントに!!\(^o^)/
良かったです!! ハピエンで!!\(^o^)/
でもって、2度目の本気の告白はイルミネーションというシチュエーション❤️
サイコーです!!
二人で約束していた場所に、別々に来たのに出会ってしまうなんて、素敵な運命!!
初々しい二人のその後のイチャラブっぷり、見てみたいですぅ~(≧∇≦)
2013.12.19 Thu l しゃけ. URL l 編集
ぽこにゃん
コメントありがとうございます♪

今回のクオンさんも…どうなの?っていうような感じでしたが、良さそうな反応で嬉しいです。

最後(?)までお付き合い、ありがとうございました!
2013.12.20 Fri l 風鳥. URL l 編集
moka様
コメントありがとうございます♪

どんなコメントもワタクシの宝物です!

そうなんです…まだ、24日なんですよね……。

……ですよね…。キョコ誕祭…。

フフフフ…。

2013.12.20 Fri l 風鳥. URL l 編集
風月様
コメントありがとうございます♪

満足して頂けたのなら、私も嬉しいです!
お互いが「一緒に来たかったな~」みたいな気持ちで来てみたら…って感じを演出したかったんです。
これから、風月様考案Another sotoryをカタカタしていきます~♪

……え?
ば…番外編……?
惹かれます…惹かれますが……間に合うかな…。
2013.12.20 Fri l 風鳥. URL l 編集
魔人様
コメントありがとうございます♪

魔人様!本当に…!貴方様は危険極まりない。

> 「・・・・キョコ誕祭り開催スタート(ボソッ)」
>
> と、最初に宣伝!!

で、素で烏龍茶を噴き出しましたよ!
危ない危ない…とっさに横向きましたが、危うく相棒が昇天するところでした。
そして、

> 続きも楽しみにしてます!

↑(確定)で、むせました…。

………皆さーーん!魔人様は本当に危険ですよーー!!
2013.12.20 Fri l 風鳥. URL l 編集
ねここ様
コメントありがとうございます♪

やっぱり…24日止まりは中途半端ですよね…(泣)
前向きに…!挑戦したいと思っております~。
2013.12.20 Fri l 風鳥. URL l 編集
月華様
コメントありがとうございます♪

この後…会社の二人とか、プライベートな二人とか……いいですね!
番外編で盛り込めたらいいな~なんて…思います。

ただ問題が…!
ワタクシ大変遅筆でして、どうぞその辺ご容赦を!

残念クオンさんでしたが、楽しんで頂けたのなら嬉しいです!!
2013.12.20 Fri l 風鳥. URL l 編集
しゃけ様
コメントありがとうございます♪

ですよね…今後の二人。
……やるかーー!やっちゃうかーーー!!

ちょこっとお待ち下さいね~♪
2013.12.20 Fri l 風鳥. URL l 編集

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